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マンガ家Mの日常
話題の青春映画。
「マグノリア」「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」「ザ・マスター」等、
異色作を手がけたポール・トーマス・アンダーソン監督作品。


15歳のゲイリーは子役として俳優業を続けていた。
スターという程ではないが、いくつかの人気作品にも出演していて、
業界の覚えもそれなり。

高校で卒業アルバムの写真撮影が行われていて、
撮影アシスタントとして来ていた25歳のアラナに一目惚れ。
電話番号を聞き出し、デートに誘う。
15歳と25歳という年の差では、アラナは最初本気にしなかったが、
映画の世界で働いているゲイリーは収入もあり、どこか老成していて、
何とは無しに付き合いが続く。

ゲイリーはそこそこの資産を元手に、友達に手伝わせて、
ウオーターベッドやピンボール・センターのビジネスを展開。

ゲイリーはアラナ一途だが、
ゲイリーと知り合った事で映画の世界を垣間見たアラナは、
ベテラン大物俳優やプロデューサー達とも知り合い、心が揺れる。
しかし、若い女の子として軽いノリであしらわれておしまい。
地元の若手政治家とも知り合うが、彼はゲイだと分かり、恋心は破れ、
改めてゲイリーの元へ走る。


このタイプの青春映画としては2時間13分はやや長くて、
観ていて、ちょっとダレた。
でも、それがアンダーソン監督のひねりの効いた作品作りなのだろう。

青春映画にありがちな美男美女の主演ではなく、
ゲイリーはちょいポチャ体型で、老成さが鼻につく。
アラナはスタイルは良いけど、美人って顔立ちでもない。
25歳の女性なら、パートナー探しに集中するのもやむなしだけど、
何だかちょっとギトギトしていて、自己評価高目なのがやっぱり鼻につく。
微妙なバランスの中から、観客の興味を引き出す。

ゲイリー役はアンダーソン監督お気に入りだった
名優フィリップ・シーモア・ホフマンの遺児
クーパー・アレキサンダー・ホフマン。
父親から、もっと色々学びたかっただろう。

ショーン・ペンやブラッドリー・クーパーが
感じ悪い業界人の役で出演するのは、おふざけ的な感じだったけど、
それはそれで、無名の主役2人とのバランス感覚なんだろう。

ネットで見ると、やはり賛否両論で、つまらなかったという意見も多い。
そうだよなぁ。
ただ、自意識過剰なくせにサエなかった自分自身の青春時代や、
たまに遭遇するヒヤヒヤ体験を俯瞰して、懐かしく思い起こさせる。
だから、1970年代を設定したのかな。
大人になって見ると、
たいして美人でもない年上女性を女神のように追い求めていたり、
憧れの映画業界の大スターのくだらない裏側に失望したり、
そういうあれやこれやも、心の片隅でポンッと手を打ててしまう。
15歳も25歳も、それぞれ未熟で失敗も多いけど、
でも、結構頑張れていたりもするし。
皆「あるある」だよね。
映画そのものよりも、映画を通して追体験を楽しむ。

ラストに近い場面で、映画館の入り口が映し出され、
「メカニック」が「007」の抱き合わせで上映されていて、
無性に懐かしい。
ジャン・マイケル・ビンセントが若くて美しかった映画。

おやおや、こうしてアンダーソン監督の罠にハマって行くのかな。

タイトルの「リコリス・ピザ」は、
当時のレコード・チェーン店の名称だそうです。
ピザにお菓子のリコリスがトッピングされた状態を思い浮かべると、
味も舌触りも変な感じ。
そういう青春時代。
グダグダな2人の青春恋愛模様を罵倒しつつ、
グダグダな自分の青春時代を懐かしもう。




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