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マンガ家Mの日常
2001年公開の映画なんで、ちょっと時代感はある?
(当然なんだけど、オフィスのパソコンの型が古い。)
ほのかに笑える可愛い作品でした。
ダニエル・オートゥイユを見るのは久しぶり。

ゴム製品会社の経理で働くピニョンは、真面目だけが取り柄の冴えない男。
妻と息子には見捨てられ、離婚後は会うどころか電話にも出てもらえない。
会社では透明人間扱い。
ついに経費削減でリストラ筆頭になってしまった。
日頃からピニョンをよく思っていないマッチョな人事部長サンティニは
トイレの雑談でピニョンのリストラを漏らしてしまう。

絶望したピニョンは自宅のアパートの窓から飛び降り自殺しようと考えるが、
隣室に越して来たばかりの老人に説得され、救われる。
この説得の仕方がおしゃれで良い。
窓の真下にある車は自分のだから、傷を付けられると困る、と
飛び降りを止めさせたり、
うちの猫を返してくれ、とドアの下から紙を差し入れてドアを開けさせて
話をするよう持ち込んだり。
どっちも嘘なんだけど。

老人は企業のコンサルタントをやっていた経験から、ピニョンにアドバイスする。
そして、リストラされない手立てとして、ピニョンがゲイだという噂を
会社にばらまく事を思いつく。
実は老人はゲイで、20年前にゲイ差別の為に会社を退職させられた過去があった。
時代は移り、今やゲイ差別がピニョンを救う手段となった。

リストラの理由がゲイ差別だと世間に思われては、会社としてはマズイ。
ピニョンの首は繋がる。
そして、ゲイ嫌いのサンティニは、ゲイ嫌いが問題視されるのを防ぐべく、
ピニョンにゴマを擦る。

会社でも、妻子からも、ずっと無視されてきたピニョンが
偽のゲイのカミングアウトで注目を浴び、人生に積極的になった。

差別の逆利用って、微妙な問題ではあるんだろうけど、
今作は罪のない仕上がりになっている。
ピニョンはゲイでは無いんだけど、
ゲイだとして、マイナスとされる要素を曝け出す事で、
周囲の人とオープンマインドで接するようになれるって側面もあるのかな。

ゲイ嫌いのサンティニはジェラール・ドパルデュー。
マッチョっていうイメージは無いんだけどね。
ダニエル・オートゥイユにしても、ジェラール・ドパルデューにしても、
フランス人は鼻のデカイ無骨な顔が好き。

原題は「Le Placard」で、ゲイパレードの場面があるのと、
カミングアウト、レッテル付けの比喩かな。
邦題の「メルシィ!人生」ではどうとでも取れる感じになってしまう。
フランスのヒューマン・コメディって事だけはとりあえず分かる。
相変わらず、良いんだか悪いんだか。他に良い案は無かったのかな。
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