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マンガ家Mの日常
奇才デヴィッド・クローネンバーグ監督の映画。

救いが無く、見ていて楽しいとは言い難いけど、緊張感が伝わる。
個人の正面向きのバストショットが多用されているのは、
ドキュメンタリー的な見せ方にする為なのかな。


タイトルの「マップ・トゥ・ザ・スターズ」は文字どおり、
ハリウッドの観光スポットにもなっているスターの邸宅を紹介する地図の事。
地方から出て来たアガサという女性が予約したハイヤーに乗って、
スターの邸宅を見に行くところから始まる。

パーティ好きで神経症的で悪趣味なハリウッドスターの生態があらわにされる、
そういう話かと思っていたら、
母娘、或いは姉弟の近親相姦関係が精神病のごとく渦巻いていて、
皆、破滅の道を辿って行く、フロイト的なシンドイ展開。

アガサは幼い頃から弟との結婚を思い描いていて、
放火で弟を殺しかけ、自らも全身にケロイドが残る火傷を負った。
両親はアガサを遠ざけて来たが、治療を終えて現れる。
弟のベンジーは子役スターとして大金を稼ぐ身だが、
スポイルされた環境で育ち、ドラッグ中毒の過去も持つ。

アガサは弟への抑えきれない感情に戸惑ってきたが、
実は、両親こそが兄妹同士の近親婚だった事を知って、納得する。

アガサはベテラン女優ハヴァナのアシスタントの仕事に就くが、
ハヴァナは幼い頃、大女優だった母親から性的虐待を受けており、
母娘近親相姦を引きずっていて、私生活にもキャリアにも影響している。

性格が歪みきったハヴァナは、アガサのBFを寝取った挙句、暴言連発で、
怒りが頂天に達したアガサにトロフィーで殴り殺される。

アガサの両親は、兄妹全く別々に育てられた為に、
知らずに結婚してしまったのだったが、
母親は罪悪感から逃れきれず、焼身自殺を図る。

アガサとベンジーは結婚の誓いを交わし、薬を大量に服薬して心中する。
見上げた夜空には星座が浮かんで見える。


重層構造的な設定なので、やや分かりにくさはある。
ハリウッドスター云々という事では無く、
近親相姦の背景があって、狂気がハリウッドの仕事で増幅された。
死ぬ事でしか清算されない。

ハヴァナ役のジュリアン・ムーアが、やりきった感がある。
そんなに無理しなくても、と、ちょっと思ってしまうのだけど。

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