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マンガ家Mの日常
もう少し感想を具体的に書く。

8話のミニシリーズというのは程良い長さだけど、
のっけから買収関係各社の登場人物が多過ぎて、
顔も名前も人間関係も把握しづらい。
ただでさえ、国家間での企業買収という難しい設定なのに。

タイトルからマックスが主人公だという事は流石に分かるけれど、
恋人パシー以外の人々との関係性が希薄で、
それがマックスという人物像をも希薄にしている。
会社内でのポジションも分かり難い。

それはダーヴィドについても同様で、
離婚後の財政難からリークの誘いに乗ってしまったのは分かるけど、
会社の他の人達との繋がりが希薄なので、
まるで独立したエピソードのようになってしまっている。
会社の上司2人もまるでただの連絡役で、
重要そうな役どころなのに何も役に立っておらず、ドラマの中で生きていない。
唯一、巻き込まれ型のタクシー運転手ミラだけは生きていた。

ロシアがスウェーデンの通信網を陰で制御するところから
世界侵略を目論んでいるという恐怖が描かれているのは分かるけど、
1番の問題は、それがマックスと繋がっていない点。
マックスは恋人奪還しか関心が無い。
そして、最後に視聴者に明かされる、スターリンの孫だという事実も、
ドラマの中で何も意味を持っていない。

原作がどの程度の内容でどの程度の長さなのかわからないけど、
今作では思い設定を詰め込み過ぎで、アイデア過多で失敗した。
思いつきを何もかも描こうとせず、もう少し設定を整理する必要がある。
例えば、ダーヴィドのエピソードはもっとコンパクトにして、
マックスの活躍の時間配分を増やす。
スターリンの孫だという設定も、いっそ知っていたというようにしたら、
ロシアでの動きや結果も、
マックス主体にドラマチックに構成出来たのではなかろうか。

ドラマ作り(マンガでも同様)において重要なのは、
まず早い段階で登場人物のキャラクターや立ち位置を明確に知らせる事。
そうでなければ、視聴者(読者)は感情移入出来ず、
その後の物語の展開にもついて行けなくなる。
実のところ、この作業はかなり高い技術が必要。
「分かりやすく描く」というのが最も難しい。

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