スペイン、ドイツ、英国合作のドラマ映画。
1959年、戦争未亡人フローレンスは、英国の田舎町で古い家屋を購入し、
改装して、念願の書店を開業。
地元の名士ガマート家のパーティに招かれると、夫人のヴァイオレットが、
その書店の家屋は芸術センター開設のために予定していたので、
譲り渡すようフローレンスに要求する。
家屋が気に入って、既に営業準備に取り掛かっていたので、断ると、
ヴァイオレットは乗っ取りを目論んで、嫌がらせを始める。
資産家の老紳士ブランディッシュは、45年前に離婚した後、
ほぼ引きこもり状態だった。
読書家で、フローレンスに本の推薦と配達を頼む。
互いの知性と感性が共鳴し、内心では惹かれ合うが、
ブランディッシュは自分の年齢を考慮し、深い関係には進まない。
ヴァイオレットに対して、フローレンスへの嫌がらせを止めるよう警告する。
しかし、その帰り道、心臓発作で急逝。
ヴァイオレットは政治家の甥に家屋収用の法律を作らせ、
地元の役所に圧力をかけて、フローレンスの書店を閉店に追い込む。
フローレンスは荷物をまとめて町を去る時、家屋が火事になっているのを知る。
書店でバイトをしてフローレンスを慕っていた少女クリスティーンが、
書店をヴァイオレットに渡すフローレンスの悔しさを汲み取り、
灯油ストーブの事故に見せかけて家屋を焼失させたのだった。
フローレンスの勇気を受け継ぎ、本への情熱に目覚めたクリスティーンは、
大人になって、自らの書店を開く。
名作。
穏やかな展開で、ゆったりと進むが、
脚本、映像、音声、全てが完璧に整っていて、
匠の技とも言うべき作りで、観客の感情を掴み、飽きさせない。
ゴチャゴチャと派手な要素を色々詰め込んだ映画が、
退屈で、見進まないのとは、全く対照的。
イザベル・コイシェ監督は静かな恋愛映画が多いようであるけれど、
今後、注目して観て行きたい。
とにかく、本好きには泣かせるネタが随所に詰まっている。
クラシカルな老紳士という風貌のブランディッシュが
フローレンスのお薦め本の中で、特に気に入ったのがブラッドベリと言う意外性。
「華氏451度」が書店の消失を予感させ、
12歳の少年の成長期を描いた「たんぽぽのお酒」は、
ブランディッシュ他界後に書店に届き、互いの将来を見られない状況と重なる。
映画の中では一言の説明も無いのだけど、
ヴァイオレットは若い頃から密かにブランディッシュに恋していて、
ブランディッシュがフローレンスを気に入ったのにも、プライドを傷つけられ、
より復讐に燃えたのだろうと見て取れる。
そうした雰囲気を感じさせる手際も心憎い。
底意地の悪いヴァイオレットが勝利し、
ブランディッシュは亡くなり、
フローレンスは書店を奪われて、財産を失い、町を去る。
結果だけ見ればアンハッピーなんだけど、
ヴァイオレットの勝利はどこまでも虚しく、
フローレンスやクリスティーンの心の中は勇気と情熱に満ちている。
単純な勝敗で人生の豊かさは測れない。
爽やかな終幕。
1959年、戦争未亡人フローレンスは、英国の田舎町で古い家屋を購入し、
改装して、念願の書店を開業。
地元の名士ガマート家のパーティに招かれると、夫人のヴァイオレットが、
その書店の家屋は芸術センター開設のために予定していたので、
譲り渡すようフローレンスに要求する。
家屋が気に入って、既に営業準備に取り掛かっていたので、断ると、
ヴァイオレットは乗っ取りを目論んで、嫌がらせを始める。
資産家の老紳士ブランディッシュは、45年前に離婚した後、
ほぼ引きこもり状態だった。
読書家で、フローレンスに本の推薦と配達を頼む。
互いの知性と感性が共鳴し、内心では惹かれ合うが、
ブランディッシュは自分の年齢を考慮し、深い関係には進まない。
ヴァイオレットに対して、フローレンスへの嫌がらせを止めるよう警告する。
しかし、その帰り道、心臓発作で急逝。
ヴァイオレットは政治家の甥に家屋収用の法律を作らせ、
地元の役所に圧力をかけて、フローレンスの書店を閉店に追い込む。
フローレンスは荷物をまとめて町を去る時、家屋が火事になっているのを知る。
書店でバイトをしてフローレンスを慕っていた少女クリスティーンが、
書店をヴァイオレットに渡すフローレンスの悔しさを汲み取り、
灯油ストーブの事故に見せかけて家屋を焼失させたのだった。
フローレンスの勇気を受け継ぎ、本への情熱に目覚めたクリスティーンは、
大人になって、自らの書店を開く。
名作。
穏やかな展開で、ゆったりと進むが、
脚本、映像、音声、全てが完璧に整っていて、
匠の技とも言うべき作りで、観客の感情を掴み、飽きさせない。
ゴチャゴチャと派手な要素を色々詰め込んだ映画が、
退屈で、見進まないのとは、全く対照的。
イザベル・コイシェ監督は静かな恋愛映画が多いようであるけれど、
今後、注目して観て行きたい。
とにかく、本好きには泣かせるネタが随所に詰まっている。
クラシカルな老紳士という風貌のブランディッシュが
フローレンスのお薦め本の中で、特に気に入ったのがブラッドベリと言う意外性。
「華氏451度」が書店の消失を予感させ、
12歳の少年の成長期を描いた「たんぽぽのお酒」は、
ブランディッシュ他界後に書店に届き、互いの将来を見られない状況と重なる。
映画の中では一言の説明も無いのだけど、
ヴァイオレットは若い頃から密かにブランディッシュに恋していて、
ブランディッシュがフローレンスを気に入ったのにも、プライドを傷つけられ、
より復讐に燃えたのだろうと見て取れる。
そうした雰囲気を感じさせる手際も心憎い。
底意地の悪いヴァイオレットが勝利し、
ブランディッシュは亡くなり、
フローレンスは書店を奪われて、財産を失い、町を去る。
結果だけ見ればアンハッピーなんだけど、
ヴァイオレットの勝利はどこまでも虚しく、
フローレンスやクリスティーンの心の中は勇気と情熱に満ちている。
単純な勝敗で人生の豊かさは測れない。
爽やかな終幕。
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