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マンガ家Mの日常
イスラエルの映画。
軽妙なコメディかと思ったら、シリアスで重苦しい話だった。

イスラエルって、何語?
イントネーションはフランス語っぽい。
設定上画面に頻繁に文字が出て来るけど、全く分からず。


タルムードの研究で世界的権威とされているウリエル・シュコルニク教授が
アカデミーの会員に迎え入れられる事になり、
その発表の式典に家族全員で列席したが、浮かない顔の人物が一人いた。
ウリエルの父親エリエゼルである。
エリエゼル自身、タルムードの文献研究に長く携わって来たが、
肝心の写本をライバルの研究者に横取りされて、研究は日の目を見ず、
地位や名声とも縁遠い人生となってしまった。
息子のウリエルは研究者としての父を尊敬して同じ道を志し、
目覚ましい活躍を遂げて、今では完全に父を超える存在となっていた。
学会から認められないエリエゼルは息子に対しても嫉妬心を隠しきれない。

かつてエリエゼルが師事したファインシュタイン教授が記した歴史的大書に
脚註(フットノート)として、エリエゼルを賞賛する一文が載せられていた。
エリエゼルにとっては研究者としての自負の支えであり、
ライバルのグロスマン教授にとってはエリエゼルへの嫉妬心の源でもあった。
写本の横取りに始まって、グロスマンは事あるごとに
エリエゼルの進路を妨害して来たのだった。

遂にエリエゼルにイスラエル賞が授与される知らせが届いた。
しかし、それは単純な事務的ミスで、
本来は同じ名字の息子ウリエルに授与されるものだった。
選考委員から内密に知らされたウリエルは、グロスマンの対応に激怒しながら、
父の為に犠牲を覚悟で、このまま父が授与されるよう取り計らう。

裏事情を知らないエリエゼルは、新聞のインタビューを受け、
自分の実績について語る傍ら、他の研究者に対して辛辣な意見を述べた。
記者はそれを全てウリエルに対する批判であるかのように記事をまとめてしまい、
新聞を読んだウリエルは失望し、耐えきれずに母親にだけそっと事実を耳打ちする。

エリエゼルは連絡の電話の内容や書類から事実を悟る。
重苦しい空気を引きずったまま授与式の会場に向かう。


気持ちは分からんではないけど、
研究者間の醜い名声争いで家族が崩壊していくのがシンドイね。
映画らしく何かスッとする解決策は無かったのかな。
プロ野球だと、よく父子鷹なんて言って、父親が必死で息子を鍛え上げ、
息子の活躍を我が事のように喜ぶけど、
学者はそうはいかんのね。

ノーベル賞を見ても、ちょっとしたタイミングのズレや名前の取り扱いで
歴史に残る偉大な名声を得る人と、埋もれていく人とに残酷に分かれてしまう。
認められてしかるべき人が消えていった例は無数にあるに違いない。
研究者の宿命。

エジソンの政治力の陰に置かれていたニコラ・テスラは死後名誉が回復された。
エジソンは名誉と言うよりも特許料目当てだったけど。
それもまたえげつないね。



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