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マンガ家Mの日常
先だっての誕生日の前夜から当日にかけて、
とにかく、この日ばかりはお気に入りの俳優の映画を見なくちゃと。


実話を元に、1960年代カーレース開発の世界を描いた作品。

ル・マン24時間耐久レースで優勝という輝かしいキャリアを得た
キャロル・シェルビーは、持病の心臓病の為に、早くに引退し、
自動車販売会社を経営していた。

アメリカのビッグモータースの一角を担うフォード社は、次世代の顧客獲得の為、
副社長アイアコッカの提言で、フェラーリを買収し、レース参戦を検討していた。
しかし、フォードの社風を快く思わないフェラーリの社長エンツォは、
罵声を浴びせてアイアコッカを追い返す。
アイアコッカは逆にこの契約決裂を武器に、
社長ヘンリー・フォード2世に、レーシングカーの開発を承諾させる。

アイアコッカからル・マン参戦のチーム作りを求められたシェルビーは、
息の合ったレーサー、ケン・マイルズを誘う。
英国から家族で移住して来たマイルズは、レースに出場する傍、
自動車整備工場を経営していたが、工場は破産寸前。
高額な契約金の提示もあって、シェルビーの誘いを受ける。

しかし、職人気質のレーサー兼エンジニアであるマイルズは、
販売戦略しか頭にない副社長レオ・ビーブと対立する。

シェルビーとマイルズは信頼関係を築き、レーシングカー開発に専念。
遂にル・マンで、宿敵フェラーリを抑えて、悲願の優勝の瞬間を迎える。
卓越したドライビングテクニックで、1周リードしていたマイルズだったが、
ゴール寸前で、ビーブ副社長から、宣伝写真用に、
フォード車3台が横並びでゴールするよう要求され、
盟友シェルビーの苦しい立場を思いやって、ビーブの指示に従う。
しかし、同時ゴールの場合、後方スタートの車が優勝となるというルールがあり、
本来2番手だったマクラーレンが優勝し、マイルズは2位となってしまった。

その2年後、マイルズはテスト走行中の事故で47歳の生涯を閉じる。


60年代、アメリカがまだ若くて、物作りに夢と希望があった時代。

カーレースには詳しくないので、元の出来事を知らずに見て、
このあまりにドラマチックな展開に引き込まれた。
天才達の栄光と挫折。泣ける。

カーレースのシーンも緊張感が伝わって、素人が見てもワクワクさせられた。
同時に、フォード社の内幕や人物像も興味深い。

今作の企画が、もし70年代のハリウッドで実現していたら、
シェルビーやマイルズの役は、当然の如く、
ポール・ニューマン、スティーヴ・マックイーン、ロバート・レッドフォード、
このトップスター3人で分け合っただろう。
ニューマン、レッドフォードは両役とも可能で、マックィーンはマイルズ限定。

どうしてそう考えてしまったかと言うと、
これ程までに素晴らしい要素を持った作品なので、
ハリウッドを代表する作品になって欲しかったが、後少し、華が不足している。
現代の映画で、実話を元にした場合、登場人物を実像に近づけようとする。
でも、今作の場合、もっとハリウッドらしい、
夢のある大作にしても良かったのではないかと感じられた。
マイルズ役のクリスチャン・ベールは、もっとカッコよく描いて欲しかったし、
シェルビー役のマット・デイモンは、良い人なんだけど...、顔がマズイ。
マックィーンのマイルズ、ニューマンのシェルビーを夢想すると、
痺れる程カッコイイ。

ヘンリー・フォード2世、アイアコッカ、エンツォ・フェラーリ等々、
それぞれ味があって良かった。

ビーブ役のジョシュ・ルーカスは、これまであまり記憶に無くて、
「ママさん刑事ローラ・ダイアモンド」で認識したが、
今作のような、嫌味なイケメンが最高にハマっている。
こういう複雑なキャラクターを演じられる人は重要。

ネット検索すると、ビーブ本人は人望の厚い好人物で、
マイルズと軋轢はあったものの、
映画のようにわざと優勝を阻んだりは考えておらず、
同着の場合に後方スタート車が優勝となるとは全く知らなかったそうです。
映画としては、ビーブがマイルズを罠に嵌めたとするのが面白いんだけど、
販売や宣伝が専門のビーブが、
レース専門のシェルビーやマイルズさえ知らなかった細則に、
あの土壇場で気づいていたというのはちょっと不自然な感じもしたので、
ビーブは知らずにやってしまったというのが真実だと思われますね。

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