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マンガ家Mの日常
まず別の映画を見てたんだけど、退屈な感じだったんで寄り道してみた。

流行りの北欧サスペンス。
監督がラッセ・ハルストレムなので、期待したんだけど、
推理物としては作りが甘かった。

とある一家が一夜のうちに惨殺され、
かろうじて息子ヨセフだけが一命を取り止める。
病院で治療した後、昏睡状態になっているが、
国家警察のヨーナは、医師のダニエラの紹介で催眠療法士エリックを呼び出し、
昏睡状態のヨセフから事件の夜の出来事を聞き出そうとする。

しかし、催眠療法に気付いた犯人はエリックの自宅に忍び込み、
介入を止めるよう要求して、幼い息子ベンヤミンを誘拐。
エリックは犯人の脅しと、過去に催眠療法で被験者の人生を狂わせた経験から
これ以上の事件捜査への協力を拒むが、
ヨセフの事件解決がベンヤミン救出につながるとヨーナに説得されて、
ヨセフに催眠療法を再度行うと、
一家惨殺はヨセフの仕業で、実の母親が仕掛けたものだと分かった。

実の母親リディアは精神病で10年前に収容されていたが、半年前出所し、
ヨセフはリディアからの手紙で自分が養子だったと知らされ、
一家を逆恨みし、母親からの遺伝なのか、日増しに暴力的になっていっていた。
そして、リディアに操られたかのように一家を刺し殺したのだった。

エリックは妻のシモーヌにも催眠療法を施し、誘拐事件当夜の記憶を掘り起こし、
犯人の顔を思い出させる。
画家でもあるシモーヌはすぐさま似顔絵に描き起こし、捜査は急展開。
リディアの居場所を突き止め、ベンヤミンを救出する。

ここ暫くWOWOWで放映されている北欧ミステリーのシリーズのような作品。
事件捜査に催眠療法を導入するのはシリーズ物にした方が面白いかもしれない。
この映画では低予算だったのか、全体の作りが物足りない。
設定のあちこちに無理があって、細かい箇所を突いていったらキリが無い。
大体、何でも精神病で片付けてしまってるのが問題。
リディアは、ヨセフに一家やエリックを殺させようとせずとも、
実の母親として息子のヨセフを取り戻せば、
それで良かっただけなんじゃないのかな?
精神病の為に子供を取り上げられた過去があったとしても、一応出所してるんだし、
すぐに一緒に暮らせなくても、会うくらいから出来るでしょ。

事件の中で疑問に思える事が、解決の時には全て明らかになるっていうのが
正しいミステリーのあり方なんだけど、
今作では逆に、犯人と事件の全容が分かってから思い返すと、
色々おかしな箇所に気づいてしまう。

国家警察のヨーナは仕事中毒の独身男。
相棒のマグダレーナは結婚していて、夫と幼い娘がいるんだけど、
ヨーナは事件について気にかかる事があると、
深夜でも平気でマグダレーナを呼び出す。
ヨーナがマグダレーナの自宅に押しかけると、娘が反射的に大泣きし始める。
そういう設定は結構面白い。
ヨーナにしても催眠療法士のエリックにしても、
映画っていうより、シリーズ物のドラマ向きの設定なんだよな。

シモーヌが催眠状態に入ったところで、
アンドリュー・ワイエスの名画「クリスティーナの世界」そっくりのシーンがある。
唐突で無意味な気もするんだけど、何か遊びを入れたかったのかな。
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