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マンガ家Mの日常
1939年、ヒトラー暗殺を計画した実在の人物、
ゲオルク・エルザーの後半生を描いた映画。


地方都市で家具職人として生計を立てていたゲオルクは、
友人達と共に、反ナチ組織の赤色戦線戦士同盟に加入。
ささやかな抗議活動を行っていた。
私生活では、人妻のエルザと関係を持っていた。

ナチスが第1党となり、状況が悪化。
友人が逮捕されて収容所に入れられた事から、
ゲオルクはたった1人でヒトラー暗殺を企てる。

ヒトラーの演説会場に手製の時限爆弾を仕掛ける。
しかし、悪天候の予報に備えて移動の予定時刻が変更になり、
その日に限って演説が早く終了した為、
ヒトラーが演題を離れて13分後に爆発。
暗殺計画は失敗し、会場にいた8名が命を落とした。
ゲオルクは逮捕され、拘留されて尋問を受ける。
背後に大きな組織が存在するのではと疑われ、拷問されたが、
ゲオルクは時限爆弾の精密な設計を描くなどして、単独犯であると実証する。

その後収容所に監禁され、終戦間近の頃に処刑される。


オリヴァー・ヒルシュピーゲル監督は、
「es」「ヒトラー 〜最期の12日間〜」等、意欲作で知られる。
映画全体は地味だけど、流れが良くて、ダレない。

ゲオルクという人物は、映画を観る限り、ごく普通の民間人で、
酒場で楽器を演奏したり、人妻との不倫に没頭したりと、
政治的な強い思想の持ち主には見えない。
そのゲオルクが、人類史上最悪の悲劇の張本人ヒトラー暗殺の
一歩手前まで歩を進めた。

事件後にこそホロコーストの悲劇が加速するので、ゲオルクとしては、
そこまでの巨悪に立ち向かったという意識ではなかったかもしれない。
だから行動出来たのか。

暗殺という行為を正当化するのは難しいけれど、
心の内なる正義に従った行動は、蛮勇と一括りには出来ない。

映画の中では、具体的な情報が語られていない面も多々ある。
なればこそ、映画を観終わった後で語り合う余地が多く、
それぞれが改めて考える機会が作られる。



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