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マンガ家Mの日常
アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞受賞作。

バックコーラスと言っても、
ローリング・ストーンズ、デヴィッド・ボウイ、ブルース・スプリングスティーン、
スティングといった、世界に名だたるトップアーティストのバック。
歌唱力、表現力は世界レベル。
しかし、ソロへの道程は遠かった。

こうしたドキュメンタリー作品を見ると、いつも、
気の遠くなるような長期間の取材と撮影の努力に驚かされる。
出演を承諾したアーティスト達との信頼関係作りも重要だったろう。
バックコーラスの歌手(男性も含む。)がテーマと言う事なので、
何となく内容は見えてしまってるような気もしたが、
スタイリッシュな映像と、緻密な構成が素晴らしかった。

マンガの仕事、アシスタントさんや自分の仕事にも共通する部分があって、
思うところも多かった。

白人歌手のみだったTVの歌番組に、60年代になって
多くの黒人バックコーラスが登場するようになった。
ブラックパワーの時代の後押しもあって、
多くの有名アーティストがゴスペルの味わいを自分の楽曲に求めた。

バックコーラスの歌手の多くは、ソロでの活躍を夢見ているが、
実力のある歌手であっても、そう簡単には事は運ばない。
TVの歌番組でその時大人気のグループの口パクを散々やらされたり、
レコーディングしてレコードが出たと喜んでいたら、他人名義になってたりとか、
ミリ・ヴァニリ顔負けの有り得ないような状況で騙されて、
いいように消費されてしまったりもした。

歌手としての実力はあっても、自ら作詞作曲が出来ないと、
レコード会社に依存する形になり、活動が制限される。
ソロになるとなれば、ただ歌を歌えるだけでは足りない。
B・スプリングスティーンやスティングがシビアに語る。

挫折して歌手を辞めてしまったり、
一旦は別の仕事に就いたけど頑張って復帰したり、道は様々。
有名アーティストのバックにいれば、華やかで楽しいし、お給料も良い、
そういう状況に埋没してしまって、創作活動に身が入らない人もいる。
信念を貫いて、ソロで大スターに上り詰めた人もいる。

全く当たり前の感想なんだけど、
個人の生活を考えて仕事を選ぶ人生もあるけど、
諦めずに努力する人生って大事。


それにつけても、アメリカには無名の実力派歌手が限りなく大勢潜んでいる。
以前にも、地方都市のバーから見出された歌手もいた。
そんなアメリカであっても、歌の実力ではなく、
話題性や容姿等のスター性が優先される傾向にある。
先日グラミー賞のステージを見ていても、
純粋に「声」で聴かせるのは御大トニー・ベネット唯一人だった。
中軸の世代は総合力で勝負かな。
新人のアリアナ・グランデとなると、ブレスもまともに出来なくて終始聞き苦しい。
どうしてグラミー賞にノミネートされ、パフォーマンスさせてもらえたんだか、
理解に苦しむ。
若い世代の代表という事なんだろう。
長続きはしない。

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