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マンガ家Mの日常
仕事と雑用のモヤモヤを払拭すべく、映画を見る。

ジェイク・ギレンホール主演の話題作。


LAに住む青年ルイスは、盗んだ銅線を売るなどして生計を立てていた。
仕事への意欲はあるが、「こそ泥は雇わない。」と門前払い。

フリーランスのカメラマン達が事故現場を撮影して
映像をTV局に売って小金を稼ぐ現場に出くわし、
同様の仕事を始めようと思い立つ。
盗んだ自転車を質屋に持って行って、警察無線機とビデオカメラを手に入れる。
見よう見まねで事故現場の撮影をする。
警察が静止するのも聞かず、強引に割り込んで、被害者の映像を間近で撮影する。
近場のローカルTV局に持ち込むと、
ディレクターのニーナに凄惨な映像が刺激的だと評価され、購入される。

ルイスはニーナのアドバイスや、放送された映像等を研究し、撮影に励む。
交通事故の現場にいち早く駆けつけると、フレーミングの為に遺体を動かす。
ニーナはルイスの服に付いた血を見て若干の疑念を抱くが、
視聴率競争の為に、ルイスが撮影してくる刺激的な映像の価値に重きを置き、
疑念は無視してしまう。

ルイスはアシスタントを雇い、更に熱心に撮影するようになるが、
ライバルのカメラマンに先を越されると、そのカメラマンの車に細工をして、
事故で瀕死の状態で救急搬送される姿を撮影する。
ニーナに対しても強気の交渉に転じ、男女の関係まで強要する。

高級住宅地での強盗事件を聞きつけると、警察より早く現場に到着する。
ルイスは敷地内に踏み込み、逃走する犯人の姿や、邸内の遺体を次々撮影する。
TV局では警察が犯罪の証拠として映像の提出を求めに来るが、
ニーナは権利を主張し、放送に踏み切る。

ルイスは次のスクープを狙う為、あらかじめ犯人の映像はカットしておいた。
犯人の居場所を突き止めてから警察に通報し、銃撃戦の現場を撮影する。
逃げる犯人とパトカーの追跡も追って、執拗に撮影を続ける。
犯人の車が事故って横転すると、アシスタントに撮影させる。
しかしそれは、次第に生意気になってきたアシスタントが
犯人に撃ち殺されるように目論んでの事だった。

ルイスは警察の事情聴取を受けるが、話をでっち上げて上手くかわす。
証拠が無い以上、警察はどうする事も出来ない。
TV局で徐々に地位を築いたルイスは、装備を整え、アシスタントを3名雇い、
映像提供会社として仕事を発展させていく。


ジェイク・ギレンホールの、死んだ魚のような目が怖い。
かなりダイエットもして、不気味に痩せこけた頬を作り上げている。

ニーナ役は「トップガン」の美女レネ・ルッソ。懐かしいね。

銅線を盗む為に躊躇せずに監視員を殴り倒し、
更には、監視員から奪った高級腕時計を身に付けるなど、
冒頭からルイスの精神状態は危うい。
凄惨な事故現場や遺体を見ても表情一つ変えず、人の命を物扱い。
空恐ろしさを感じさせられながらも、そうした事はある程度予見された。

むしろ、本当に恐ろしいのは、
一見正常な判断をしているように見えるニーナが、局での生き残りと視聴率の為、
蟻地獄のように道を踏み外していく様かもしれない。
ニーナ自身が最もルイスの映像に引き込まれ、魅了されているようにも見える。

他のTV局員達はニーナを止められない。
ニーナがディレクターという立場にあって逆らえない、というだけではなく、
内心ではやはり、刺激的な映像で稼ぎたいのだろう。
冒頭、ルイスの銅線が盗品だと知って安く買い叩きながら、
「こそ泥は雇わない。」などと知ったようなことを口にする工場オーナーと同様、
ただ言い訳がましく正義を装うとしている様が、余計に悪質で、
不正を黙認する偽善者こそが不正を蔓延らせる最大の元凶。

カメラの性能が著しく向上し、
最近では一般人がスマホで撮影した映像がニュースで放送されたりもする。
迫真の現場がリアルな映像で伝えられるのに反比例するかのように、
映像の中の事態は、作り物の映画のように実体を失って受け止められる。
視聴者もまた、言い訳をしつつ、映像を見ずにはいられない。


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