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マンガ家Mの日常

大人のラブロマンス映画。
タイトルから、あまり期待していなかったのだけど、なかなか良かった。
副題がメロドラマ的な雰囲気を煽ってるのが余分じゃないかな。
原題だけでは分かり難いから仕方ないのかもしれないけど。


風采の上がらない中年男J.C.はタンゴ教室で出会ったアリスに心惹かれる。
ところが、アリスは
J.C.が看守として勤める刑務所に収監されているフェルナンの妻だった。
看守と囚人の家族の接触は規則で禁じられている。
二人はタンゴ教室で会うだけなら問題なかろうとするが、
次第に惹かれあっていく。
アリスは夫のフェルナンと強く愛し合っているが、
不安に押し流されて、J.C.に心が傾くのだった。

フェルナンは親友のドミニクと現金輸送車を襲った際、
運悪く警備員を撃ち殺してしまった為、20年という長期刑が課せられた。
いかつい風貌ながら繊細さを秘めたドミニクは、20年は耐えられないと感じ、
時に暴力的になったり、ひどく落ち込んだりする。

フェルナンはアリスとJ.C.がタンゴを通じて接近したのを知り、
アリスの趣味に合わせようと、アルゼンチン人の囚人にタンゴを習おうとする。
アルゼンチン男は最初はフェルナンを無視していたが、
素晴らしいステップを披露して見せて、他の囚人達も含めて指導する。

アリス、フェルナン、ドミニクの3人は、若い頃からの親友だった。
アリスがフェルナンと恋仲になって結婚する直前、
アリスは一時期ドミニクと付き合っていて、妊娠してしまった。
その子供が今15歳になるアントニオで、
フェルナンはドミニクが実の父親と知った上で、父親として愛情深く育ててきた。
フェルナンは刑務所でドミニクが精神的に不安定なのを見てとり、
実の息子との結びつきを深めてやるべく、アントニオに出生の秘密を明かす。

3人の関係を知ったJ.C.が、ドミニクが自殺を図ったのをアリスに知らせに行くと、
アントニオは激昂して銃を持ち出した。
その場は何とか収めたものの、J.C.はアリスの心労を強く感じ取り、
アリスの為に自分が犠牲になる覚悟で、フェルナンとドミニクの脱獄を強行する。
いささか行き当たりばったりながら、無事脱獄成功。
車で走り去る4人を見送るJ.C.だったが、
フェルナンは戻って来て、J.C.に車に乗るよう勧める。

刑務所では、その後もタンゴのレッスンが続けられていた。


男女関係だけを見ると、ただの不倫ドラマのようになってしまうけれど、
タンゴと刑務所という設定が粋。
一見乱暴者のフェルナンが、愛情深い男で、周囲を支えている。
冒頭の強盗のシーンは最初分かり難かったけど、
ドミニクの悲痛な表情のアップが、その後を物語る。

このところ日本の芸能マスコミを中心に、やたらと不倫が糾弾されていて、
婚姻関係潔癖症みたいな状況になっているけれど、
愛するアリスの為に、ドミニクやJ.C.を受け止めるフェルナンの心の深さに、
大人の恋愛を感じる。
少し前に見た「トリコロールに燃えて」でも、3人の恋愛関係が描かれていたけれど、
それよりも本作は遥かに大人の心の奥深さと色気を感じる。

J.C.が飼っている金魚だったり、
監房でフェルナンがコーヒーメーカーで肉を焼いていたり、
ちょっとしたエピソードが、可笑しみを加えている。

刑務所でのタンゴのシーンが素晴らしい。
タンゴは元々荒くれ者の男達の踊りだったとか。
音楽無しで男二人で組んでステップを踏み始め、次第に手拍子が付いて行く。
まるで、ストリートダンスの大人ヴァージョン。カッコイイ。

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