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マンガ家Mの日常
映画で描かれているのは、所謂ビッグバンドというヤツで、
カウント・ベイシーとかデューク・エリントンみたいな大人数のバンド。
ジャズのオーケストラみたいな感じ。

普段BLUENOTEとかで聴くのは数名のバンドで、今はその方が主流かな。
個人プレイ的な音楽なんで、
クラシックのように音楽学校出身ってのは必ずしも必要では無いとも思える。

ネットで映画評の記事を見ると、
いつも楽しいコメントをしてくれる町山智浩さんが、
ジャズ評論家の人と論争状態になっていた。びっくり。

ジャズの専門家の方からすれば、
映画で表現されたジャズにはグルーブ感が無く、質が低い、との指摘。

実際フレッチャーが要求していたのは音程やテンポの正確さ。
それはビッグバンドだし、学校での勉強だからこその要求なのかな。
こうしたビッグバンドでは全体のまとまりが優先されても
不思議では無いと思えるんだけど。

映画の中でジャズの偉大な巨人達の名前が挙がるように、
フレッチャーやアンドリューが目指すのはそういうところ。
1位じゃなけりゃダメなんです、の世界。
美大でもそうだったんだけど、求められるのは10年に一人の天才一人で、
学校側からすると、他の群星はどうなろうと知ったこっちゃない、
それが芸術学校ってもんなんだよね。
奇跡レベルのハイリスク。

2時間弱の映画で世の中の全てを描ききる事も出来ないんで、
テーマに焦点を絞って作品作りがなされていると考えれば良いし、
音楽の出来栄えばかりではなく、人間関係が映画のテーマとして重要って事で。


フレッチャーが要求する音程やテンポの正確さを
生徒達は必ずしも理解しきれていないように見えた。
映画見てるこっちは素人なんで、全く分からないしね。
でも、優れた耳を持つ人にとっては、音程やテンポの僅かなズレが
気持ち悪くて仕方無いと言われる。

マンガでも、デッサンの狂いは気持ち悪くて仕方無い、私はね。
アシスタントさんがテンプレートを使って描いたお皿とか、
もう全然ダメで、あれこれ説明して指導して描き直させたんだけど、
他所の仕事場ではそれでO.K.だったり...。
まぁね、お皿でマンガが評価されるのでは無いのだろうけど...。
やっぱり、形や質感をちゃんと表現出来ねば、絵にならない。
つまり、人の目に映る自然な世界の形にならない。

ウチで仕事したアシスタントさん達はちゃんとしたお皿が描けますよ、
フレッチャー先生!


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