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マンガ家Mの日常
実在した英国人スパイ、メリタ・ノーウッドの実話を基にしたスパイ映画。
人物像についてはフィクションの要素が大きいらしい。


2000年、英国郊外ののどかな町に暮らす老女ジョーンが、
スパイ容疑で逮捕される。
第2次世界大戦の戦中戦後に、原子爆弾開発のデータをソ連に渡したとされる。

若き日のジョーンはオックスフォード大学で自然科学を学ぶ才媛だった。
大学で知り合った魅力的なユダヤ人女性ソニアに従兄弟のレオを紹介され、
恋人関係になる。
ソ連人のレオは警察から暴力的な扱いを受けた過去があり、共産主義に傾倒。
大学構内でスピーチを繰り広げていた。
ジョーンはレオに誘われて集会等に出席していたが、
思想的に傾くまでは行かなかった。

大学卒業後、ジョーンが原子爆弾開発の研究所に就職すると、
レオは恋人関係を利用して、情報を盗むよう要求する。
最初は反対していたジョーンだったが、アメリカが広島と長崎に原爆を投下し、
多くの命が犠牲になったと知ると、
原爆の不使用の為には東西の軍事力の均衡が重要だと考えるようになり、
研究データを盗み出してソニアに渡す。
女性は警戒されにくいというソニアの提案からだった。
実際、ジョーンは優秀な科学者でありながら、
研究所では秘書扱いされる事も多かった。

研究所の上司デイヴィス教授と不倫関係になる。
その後、研究データの漏洩が発覚し、デイヴィスが疑われて逮捕される。
無実のデイヴィスが拘留されたのに動揺し、ジョーンは国外脱出と自供を計画。
実質的リーダーだったソニアは行方をくらまし、レオは殺害された。
ジョーンは高級官僚となった友人にコンタクトを取り、
デイヴィスと共に国外脱出に成功し、オーストラリア行きの船に乗船する。

時が流れ、80代になったジョーンは、当時のスパイ容疑で逮捕される。
弁護士の息子ニックは国家反逆罪を犯した母親に激しく憤るが、
改めて弁護を担当する。


実在したノーウッドに関するWikiを読むと、映画とはかなり異なり、
もっと複雑な背景を感じる。
映画の評価は高くないようだけど、この事件について知らなかった身としては、
それなりに興味深く、面白く観られた。
歴史上の事件としての重要性も感じられるので、
もっと濃密に仕上げられれば、名作になったかもしれないのに。
ちょっと勿体無い。
名優ジュディ・デンチが生かされていないという批評もあるようだけど、
偉ぶったような感じがして、好感が持てなかった。
何だろう、ジュディ・デンチって、情感が濃過ぎるような。

時の英国首相チャーチルは、アメリカによる日本への原爆投下を後押ししていた。
他人事じゃない。
情報の共有や、東西の大国が原爆を保持する事による軍事力の均衡が
世界に平和をもたらすというジョーンの主張がどこまで正しいかを
判断するのは難しいが。

リケジョがバカにされる場面にも、現代と照らし合わせて、考えさせられる。

映画としては不完全だけど、良いアプローチの作品。


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