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マンガ家Mの日常
社会の下層で生きる人々のささやかな葛藤を見守る映画を製作してきた
ダルデンヌ兄弟監督作品。


病気で休職していたサンドラが元の工場に復職しようとするも、
現場は現在の16人で手が足りているから、社長は従業員に対して
サンドラを復職させるか、ボーナスをカットするかを投票で選ばせた。
14人がボーナスを選択したが、主任による脅しもあったのではないかとして、
リーダー的存在のジュリエットが支えになって、
サンドラの復職に向けての再投票を社長に承諾させた。

サンドラは土日を使って従業員の自宅を回り、説得に向かう。
夫と二人の子供と引っ越したばかりのサンドラは仕事が必要だった。
しかし多くの従業員も生活が苦しく、
サンドラの復職は応援したいが、ボーナスを諦めきれない。

消沈したサンドラは自宅回りを諦めかけたり、夫に離婚を切り出したり、
薬を大量服用して病院に担ぎ込まれたりする。
事情を抱えて苦しいながらも支援を約束してくれた人々に励まされ、
月曜日の再投票に臨む。

残念ながら8対8の同数で、復職はならなかった。
社長はサンドラの頑張りを認めて、復職の提案をするが、
それは代わりに臨時雇いの従業員を契約終了で雇い止めにするものだった。
サンドラはきっぱり断って会社を辞する。


至極シンプルなストーリー。
ヒーローもヒロインも現れない。劇的な事件も起こらない。

サンドラはグジグジしていて、見ていて時々イラっとさせられる。
本気で復職したいならもっとアピールしなきゃだろうし、
同情されるのが嫌なら、自分から相手に何か出来る事を申し出なけりゃでしょ。
優しい夫に泣きつくかと思えばいきなり離婚するとか言い出すし、
幼い子供が二人いるのに自殺を図るような真似をするなんて、
情けないし、責任感も感じられない。

そのサンドラが、友情に支えられて一歩成長した。

そういう物語なんだろう。

市井に生きる我々は弱い存在で、苦難を前にいとも簡単に凹んでしまう。
勇気を奮い起こして頑張っても、急には変われない。
一歩か半歩の成長、それが大事。

休職していた原因の病気について、
サンドラはうつ病を否定するけれど、どう考えてもうつ病。
再投票の結果を携帯で夫に伝えた時、サンドラは
「善戦したわよね。」と明るい表情で語る。
うつ病の回復には、そういう小さな自己肯定感の積み重ねが大事なのかな。

主演のマリオン・コティヤールは「エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜」
のイメージがあって、若くて綺麗だし、
ほっそりした体型で腹筋が引き締まっているのがタンクトップの上から分かる。
あんまり同情する気になれない。
もっと無名の地味な女優を使った方が良かったように思えたけどな。

最初の投票で、主任が従業員に圧力をかけて、
サンドラの復職を阻害したように言われてたけど、主任はあっさり否定している。
嘘をついてるようにも見えないんで、それは濡れ衣で、
もしかすると従業員の誰かの企みかもしれないんだけど、それは明かされない。
ジュリエットがマイナス情報をあえて捏造する事で、再投票出来るようにした?
そこまで凝った話ではない筈。
細かい疑問があるのも、それはそれで世間にはよくある事か。
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