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マンガ家Mの日常
予備知識が無かったのだけど、
1月に行った(連れて行かれた)LAのゲティ美術館は、
まさに今作の登場人物所縁の美術館だったのね。


実話を基にした映画。

アラブの石油を大型タンカーで輸入するという壮大な事業で巨万の富を築き、
世界一の大富豪として世に知られたジャン・ポール・ゲティの孫息子ジョンが
1973年7月、滞在先のローマで誘拐される。
犯人一味は身代金1700万ドルを要求。
しかし、ゲティは支払いを拒否する。
表向きは、身代金を支払ったら、他の孫達も次々誘拐の被害に遭うだろう、
という事だったが、実際は異常などけちで、金の出し惜しみ。

ジョンの母親ゲイルは既に元夫であるゲティの息子と離婚していて、
子供達と共に普通の暮らしをしており、大金の支払いは不可能。
ゲティにジョンの命を救うよう懇願するが、はねつけられる。
代わりに、ジョン奪還の為にゲイルをサポートするよう、
元CIAで、現在ゲティ家の警備を担当しているチェイスを向かわせる。

ジョンはローマ郊外の田舎家に軟禁されていた。
誘拐実行犯のリーダー、チンクアンタは、身代金さえ受け取れれば
ジョンを無事に返したいと思っていたが、交渉が難航する中で、
しびれを切らしたマフィアのボスは、ジョンの耳の一部を医師に切り取らせ、
新聞社に送りつける。

ようやく身代金の支払いに応じたゲティだったが、400万ドルまで値切り、
それも節税対策で、息子への貸し出しという形にし、
更には、貸し出しでの節税の上限が100万ドルと知らされると、
100万ドルしか出さないと言って来た。
ゲイルはゲティを非難し、別の道を探る。
広大な居城で孤独に震えたゲティは、ようやく400万ドルの支払いに応じる。

チェイスと共にローマに向かったゲイルは無事ジョンを保護する。

ゲティの死後、莫大な信託財産の管理がゲイルに任される。
美術品をLAに移送して美術館を運営し、その他の大部分は寄付に回す。


ゲティを演じる名優クリストファー・プラマーの顔が良い。
威厳と傲慢さと意地悪さが形になっている。
撮影当時、87歳。まだまだだ眼光鋭い。
この年齢でなければ演じられない役がある。
孫のジョンを演じたのが新星チャーリー・プラマーで、
苗字が同じだけど、ネットでザックリ見てもまだ関連は見当たらない。

ミシェル・ウィリアムズ、マーク・ウォールバーグ、ティモシー・ハットン
といったハリウッド俳優に対して、
ローマの誘拐犯をロマン・デュリスが演じていて、良い味出してる。
さり気ない服の着こなしもまた決まっている。

全体として、丁寧に描かれている印象。
とは言え、ゲティが身代金を出し渋り、値切るエグさが全てに勝る。
貧しい境遇から大富豪に成り上がった、自分自身の努力への矜持もあろうけど、
どこかで所有欲のネジが外れ飛んでしまってる。
ろくに相手する気もない孫達の監護権すら奪おうとする。

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【2019/04/03 (水) 15:02】 | 映画 TV
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無題
やおろず
こんにちは。先生のハーレクインの本を久しぶりに読み返しています。絵柄がとても好きでもっと読みたいのですが、最近はどんな媒体でご活躍されていますか?

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コメント
この記事へのコメント
無題
こんにちは。先生のハーレクインの本を久しぶりに読み返しています。絵柄がとても好きでもっと読みたいのですが、最近はどんな媒体でご活躍されていますか?
2019/04/04(木) 00:52 |   | やおろず #5804b6bf8c[編集]
[管理者用 返信]
Re:ありがとうございます
拙著を手に取ってくださり、嬉しいです。
ハーレクインでは仕事を進める中で、色々難しい状況が続き、コミックス8作で終了となりました。
マンガ家の側の意欲だけでは仕事にならないのが残念です。
現在は休職中です。
「キアラ」の続きを含め、描きたいと思うものはありながら、なかなかスタートを切れずにいます。
休職..ではなく、そろそろ求職に切り替えねばなりませんね。
2019/04/04(木) 16:10 | たまいまきこ

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