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マンガ家Mの日常
色々な見方は出来ると思うけど、
わかり易いのは、スターの自己憐憫、てとこ。

グラミー賞6個獲得したカントリー・ミュージックの大スター、ケリーは、
ありがちなアルコール依存症で、
コンサート中にケーブルにつまづいてステージから転落し、
妊娠5ヶ月で流産してしまった。
その悲劇的体験が拭いきれず、リハビリ施設で暫くの間過ごしていた。
その間、施設で雑用のバイトをしながらバンド活動をしていた青年ボーに
精神的に支えられ、同時に浮気していた。

マネージャーである夫ジェームズがケリーの復帰を決める。
しかし、ケリーの依存症や精神的な問題は根深く残っており、
度々ステージに穴を開けてしまう。
夫婦関係にもひびが入っていた。

ボーや新人歌手チャイルズがケリーのツアーに同行する。
ケリーの不調が続く一方で、
若手の彼らは成功を夢見て一歩ずつ階段を昇って行っている。
折々でケリーとの格の違いを思い知らされもするが、めげない。

ケリーは事故のあったダラスでのコンサートを成功させ、立ち直ったかに見えたが、
終了後、薬を大量に摂取して命を絶ってしまう。

愛と名声は同時には手に入らない、
ケリーはボーやチャイルズにそう言い残した。
歌手としての力を認められ、成功を掴みかけたチャイルズは、一旦は迷いながらも
ツアーを降りてLAで地道に活動する事を選んだボーの元に行く。

タイトルの「カントリー・ストロング」は
映画の中でケリーの歌として使われていて、「カントリーの女王」と訳されていた。
踏みつけられても立ち上がる、と言うのが歌のメッセージだったのだけど、
ケリーは立ち上がる事を諦めてしまった。

大スターならではの悲劇と言えるんだろうけど、
世の中、もっと苦労してる人は一杯いるんだからさ、
大スターだからって甘やかした見方をしてやれないよ。
自分で何とか頑張って立ち直れよな。

古くは「イヴの総て」等、大スターと新人を題材にした映画も色々ある。
映画の中の、グラミー賞6個のケリーと新人チャイルズの姿は、
そのまま、アカデミー賞女優のグウィネス・パルトロウと
ティーンのアイドルのレイトン・ミースターと重なる。
「ゴッシプ・ガール」の印象がまだ暫くはつきまとうけど、
レイトン・ミースターもなかなか良かった。

歌手を演じているグウィネス・パルトロウ、ギャレット・ヘドランド、
レイトン・ミースター等が実際の歌も歌っている。 皆上手い。

カントリーはあまり知らなくて、でも、
ティム・マックグロウの名前は何となく覚えがあった。
この人こそ本物のカントリー・ミュージックのスターなんだけど、
映画の中ではマネージャー役ってのがなんだか面白いね。

やっぱ、自己憐憫に浸っているケリーがうっとおしい作品ではあったけど、
歌は良かったし、映像も綺麗だった。
ボーがケリーを連れ出して貨物列車に乗せ、
小麦色の田園地帯を抜けて行くシーンが美しかった。
現実には叶うようで叶わない、青春映画のひとコマのようだった。

お勧めとまでは言えないけど、
日本で劇場公開されなかったって言うのはもったいなかったかな。

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