忍者ブログ
マンガ家Mの日常
以前一度見たような、見なかったような、記憶が定かでない。
とりあえず見て、途中でしっかり思い出すようだったら止めようと思ったけど、
どうやら見てなかったらしい。

フィリポフはマエストロと呼ばれる指揮者だったが、
1980年頃、当時の支配者であるブレジネフ書記長が
ユダヤ人排斥政策を行ったのに対して、
ボリショイ交響楽団の団員を守ったとして罪に問われ、
指揮者の地位を剥奪され、劇場の清掃員として働かされていた。
ところが、事務所にパリから講演依頼のFAXが届いたのをかすめとり、
かつての仲間を集めて、自らが指揮をとって演奏する計画を立てる。

フィリポフには心残りが2つあった。
心酔していたチャイコフスキーのバイオリン協奏曲の演奏を中断させられた事と、
劇場での演奏を強行した為、ユダヤ人演奏家の夫婦が捉えられて収容所送りになり、
赤ん坊だった娘はマネージャーに託され、
ロシア共産党の手が及ばないようパリに連れて行かれた事。
娘のアンヌ=マリーはパリでバイオリニストとして成功を収めているが、
フィリポフは一目会って謝罪したかった。

しかし、謝罪の一方で、
中断させられたチャイコフスキーのバイオリン協奏曲を
当時のように再現したい思いに取り憑かれているのを
アンヌ=マリーに見透かされて、批判を受けてしまう。

楽団の仲間達は憂鬱なロシアを抜け出し、パリで新生活を始めるのに夢中。
リハーサルをすっぽかして好き勝手しているが、
コンサート当日には全員集合し、ブランクを感じさせない見事な演奏を繰り広げる。
アンヌ=マリーは育ての親とも言えるマネージャーの女性から
ソリストだった母親の楽譜を託され、演奏する決意を固める。

コンサートは大好評で、すぐさま世界中を回るツアーが敢行される。

主だった俳優がロシア人で、かなりの部分ロシア語で話されるんだけど、
フランスの映画。
ロシア共産党のユダヤ人排斥政策なんて知らなかった。
80年代に入ってまで、そんなことが行われていたなんて。
楽団の事務を仕切った男は心の中は今も熱心な共産党員なんだけど、
現在ロシアでは活動は全く下火になっているみたい。
パリに来てかつての同志と再会し、パリの共産党大会を盛り上げる計画を立てる。
でも、時代は変化していて完全に空振り。
ロシアは世界から取り残されている。

ストーリー展開はシンプルで分かり易いけど、アイデアが良いよね。
フランス映画ってこういうの上手い。
荒唐無稽なようであり、でもあり得なくは無い。
嫌な奴も出てくるけど、クスッと笑える展開に持ち込んで、鑑賞後の爽快感もある。

原題は「Le Concert」で、何か物事が集約されてまとまりを持つようなイメージ。
でも、日本人向けにはオーケストラを出した方が、仲間意識を強調できて
受けが良いと判断したんだろう。
PR

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:
   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック