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マンガ家Mの日常
冒頭、ユアン・マクレガーとコリン・ファレルの兄弟が波止場でヨットを買う。
男2人とヨット、これでもう犯罪の臭い、「太陽がいっぱい」。

ウディ・アレンとコリン・ファレルなんて真反対のタイプ。
よくぞ仕事してくれたと感心する。

シニカルな物語で、話はちっとも良い方向に進まない。小悪党ばかりだから。

長男は いやいや親の潰れかけたレストランを手伝ってるけど、
派手好きで、投資で大儲けを狙ってて、女もとっかえひっかえで、
やっぱり派手好きの女優とヨロシクやりたい。
次男はギャンブル中毒。
父親は息子を思い通りにしたい。
母親は 稼ぎの悪い夫に不満で、成功した自分の兄と比べては嫌みを言う。
その伯父なる人物は 自分の会社で不正な金の操作をして、
それがバレそうになるや、告発者を始末するよう兄弟に持ちかける。
自分では手を汚したくない。
兄弟は伯父に多額の金の無心をしてるところで 逆らえない。

結局兄弟は告発者を殺してしまう。
小心者の次男は罪の意識に怯え、自首すると言い出す。
伯父と長男はそれをくい止めるには 次男を殺すしか無いと考える。
長男は次男をヨットに誘い、
ビールに睡眠薬をしこんで 自殺に見せかけようとするが、
口論となり、次男に突き飛ばされて ヨットの中で死んでしまう。
次男はその後自殺したらしい。

物語の中で 誰になら共感できるか、誰が一番悪いと思うか、
そういうのを挙げていったら 心理分析ができそうだなぁ。
一番の悪党は伯父なんだろうけど、腹が立つのは次男だな。
ギャンブルで多額の借金こさえて、
長男もそれでヤバイ事に首突っ込んじゃった面がある。
殺人に関しては長男が先に腹を決めたものの、次男だってそれに応じた。
そうして、やっちゃった後になってビクついて、
善人ぶって自首するとか言い出す。
とりあえず、罪は自分が被ると言っているけど、
そのグダグダぶりを見れば、コイツ絶対全部しゃべる、と 長男は察する。
煮え切らない、迷惑なヤツ。

人は欲望がある故に、それを手に入れる為に努力する訳で、
欲を持つのは悪い事とばかりは言えない。
要は、それが自分の身の丈に合っているかどうか。
過ぎた欲を掴もうとすれば、無理が出て、ほころびが出来る。
誰でも自分のほころびには気付く訳で、そこで引き返せば良いのだけど、
どうしてだか それができない。
できなきゃ 覚悟を決めるまでなんだけど、それも そう上手くはできない。
小心な小悪党故なんだな。
多分誰にでもそんな側面はあるんだろう。

都会派のラブストーリーで一世を風靡したウディ・アレンにしては地味な作品。
老境に入り、シンプルな作品作りに舵を取る事にしたのかしら。
いかにもの 理屈臭いスノッブなニューヨーカーも出て来ないし、
どちらかと言えば 皆素朴な人間。
そういう人達がズルズルと道を誤って行くのは
「コールドケース」のストーリー展開に似てる。

舞台劇を彷彿とさせるのはこれまでと同様。
台詞が中心で、それ以外の音声は極力しぼってるからかしら。
いつものジャズも流れて来ないし。

作家性の強さ故に、ウディ・アレンに取って代わるものは無く、
常に次回作が期待される。
だけども、一体いつまで新作が見られるのだろう...。

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