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マンガ家Mの日常
名優ユアン・マクレガー、監督第1作。


1960年代、アメリカの地方都市が舞台。
高校時代、アメフトの花形選手だったスウィードは、
ミスコン女王の美女ドーンと結婚。人も羨むカップル。
父親の革手袋工場を引き継ぎ、経営も順調で、何不自由ない生活を送っている。

ひとり娘のメリーは、吃音の障害を抱えていたが、非常に知性が高く大人びて、
それ故に両親を困らせる面もあった。
ベトナム戦争の只中、反戦運動が盛んになり、
抗議行動の為に焼身自殺を図った男性の姿がTVで映し出され、メリーは酷く動揺。
10代になる頃には、自らも反戦運動に加担するようになる。

近所の郵便局が爆破され、1名死亡するという事件が起きた。
直後にメリーは失踪し、警察が家宅捜索に押し入る。

行方知れずとなったメリーを探し続けるスウィード。
メリーの吃音は、美人の母親と比較されるのを避ける為の手段だと
医師に指摘された事と重なって、ドーンは次第に精神状態が不安定になり、
奇行に走ったり、不必要な美容形成手術を受けたり、浮気したりする。
黒人公民権運動のとばっちりで、工場も襲撃され、被害を受ける。
人も羨む幸福な人生で、何の落ち度も無かったスウィードだったが、
生活は完全に崩壊してしまっていた。

数年後、メリーの知り合いと思われる女性が出現し、ようやく再会を果たすが、
失踪直後に仲間からレイプされ、2度の爆破事件で4人を殺害した衝撃で、
メリー自身、精神的に崩壊しかけて、ボロボロの姿に変貌していた。
スウィードはメリーを家に連れ帰る事が出来なかった。

時が過ぎて、スウィードが他界。
葬儀にメリーらしき女性の姿があった。


原題「American Pastoral」を直訳すると「アメリカの心のケア」といった感じ。
人種対立や過激派の活動が長閑な地方都市にまで及んだ60年代と、
アメリカはどう向き合って来たか、というのがテーマかな。
善人のスウィードには何の落ち度も無かった筈だけど、
アメリカの病巣はもっと奥の暗い所から国民を蝕んでいた。

ベトナム戦争の問題を振りかざす活動家のリタの議論の幼さ。
メリー共々、思想が熟成されていない幼い世代が、
反戦活動にのめり込んで、身動き取れなくなった恐ろしさが見て取れる。

ただし、映画全体としては、説明台詞が多かったり、退屈な部分があった。
ユアン・マクレガーのスタンスは分からないけれど、監督作としてはイマイチ。
今後はどうするのかな。


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