実話に基づくドラマ映画。


リー・イスラエルは著名人の伝記作家として成功したが、
偏屈で人当たりが悪く、飲酒癖で生活が乱れ、
長年のエージェントにも嫌われて相手にされなくなってしまった。
生活費に困ったリーは
大事にしていたキャサリン・ヘップバーンからの手紙を古書店に売る。
その後、偶然、図書館で借りた本の中に挟まれた著名人の手紙を見つけ、
それもまた古書店に売る。
店主から、手紙の内容が個人的で感情に訴えかけるものだと、
より高値で売れると聞き、もう１枚の手紙に追伸を付け加えて売る。

自分自身の文筆業が進まず、老猫の治療費にも困って、
手紙の偽造に拍車がかかる。
ノエル・カワード等、傾倒した作家達の文章の特徴を捉えて手紙を創作し、
サインを偽造し、紙をオーブンで炙って古めかしく見せたりと小細工をする。

あちこちの古書店で売って回って、良い稼ぎになったが、
手紙の文面から偽造を怪しむ専門家も現れ、ついにはブラックリスト入り。
代わりに友人のジャックに売りに行かせるが、やはりいつかはバレる。
すると、偽造ではなく、本物を売ろうと、資料館が所蔵する手紙を盗む。
ジャックがFBIに逮捕されて証言し、リーも逮捕される。

真摯に反省したリーは、３年間の執行猶予、６ヶ月間の自宅軟禁、
一定期間のボランティア活動という処罰を受ける。


前半がちょっとたるくて、どうかな、と思ったけど、
後半の畳み掛ける展開には引き込まれた。
リーは嫌なババアとしか言えないけど、簡単には笑い飛ばせない。
真剣に夢を追いながらも、不器用な性格で、仕事も恋人も友人も逃してしまうって、
誰にだって、そういうグダグダな部分ってあるから。
世界的ベストセラー作家のトム・クランシーをこき下ろすシーンは笑えた。

主演のメリッサ・マッカーシーは、
いつもはもっとハードなキャラクターのイメージが強いけど、
野暮ったくて、ずた袋のような中高年女性になりきっている。
ゲイでヤク中でホームレスのジャックとの掛け合いも面白くて、
ジャック役のリチャード・E・グラントの演技も味わい深い。
それぞれ、アカデミー賞主演女優賞、助演男優賞にノミネートされ、
脚色賞でもノミネートされた。

ただ、映画としては地味かなぁ。
例えば、これがもう２０年くらい前に撮られて、
主演がキャシー・ベイツとクリストファー・ウォーケンとかだったら、
もっと話題に上ったのかなという気がする。
メリッサ・マッカーシーとリチャード・E・グラントには
甚だ失礼な話で申し訳ないけど。ごめんね。
名演技でも、興行的に報われない作品も多々ある。