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マンガ家Mの日常
仕事で編集さんと打ち合わせをする時、
こちらも相応の時間と努力でネームを作っていったので、
少々の事では修正案を受け入れなかった。
提案される内容の殆どは、既に考えて、排除したものだったから。
勿論、排除した理由はきちんと説明した。

でも、編集さんとの力関係や、その場の雰囲気で、
修正案を取り入れ、譲らなければならない場合もあった。

ただ、そうした場合、どうしても身体に異物が混入したような違和感に引きずられ、
そこだけがいつまでも引っかかってしまうし、
アンケートに良い方向に反映される事も無かった。

いちいち逆らうマンガ家は、編集者には面倒だと思われるが、
作品はマンガ家の名前で生涯残るものなので、納得いかないものは描けない。


それはあくまで仕事の話。


日常の付き合いの中で、些細な事で我を通す人にはやはり疲れる。
少し相手の話を受け入れる素振りを見せるだけで、話はスムーズに進むのに、
何ひとつ譲ろうとしないので、やがて決裂が待っている。

それとは逆に、
毎回、相手に譲った素振りを見せつける人のクレバーさにも疲れる。
そこには、より周到な計算がある。


程良く自説を通し、穏やかに交渉するのは、至難の技。
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