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マンガ家Mの日常
この数日、TVのニュースやワイドショーで取り上げられてる話題。
障がいのある女性が夢を追って歌手活動をしている、
その自伝本が舞台化される筈だったのが、
関係者間の行き違いの為、中止になってしまった。

TVで伝えられている範囲の事しかわからないのだけど、
その限りで言えば、
感情的には確かに、原作者の方や、練習をボイコットした土屋アンナを
応援してあげたい気持ちにはなるけど、
仕事として見れば、監督さんの言い分の方が正しいと思える。

マンガの仕事をする中で、
自分の作品に他者が手を加える状況と
他者の作品に自分が手を加える状況、両方向がわかる。

作品を読者が喜んで受け入れてくれるか、
そこにかかっている訳で、最終的には判断は読者に委ねられる。
いずれの側にせよ、良い物を提供したいという姿勢は同じな筈。
だから、そこはお互い信頼し合わなきゃなんだね。
(利益追求の為の安易な改作とかも、世の中に多々あるとしても。)

舞台化を進めていた監督さんにしてみれば、
原案に対して、慣習的な捉え方があって、
原作者や出版元の許諾の取り方がユルかった点はあるんだろう。
とは言え、ちゃんと面談して口頭で許諾を得たのだから、
監督さんの側に非を求める事は難しい。

原作者の方が脚本の事前チェックを求めていたのに、
なかなか見せてもらえなかった。
う〜ん、そこは確かに微妙だけど、
見せたところで、舞台化はそのまま進行するだろう。
事前によっぽどきちんとした契約書を作ってなければ、
原作者が脚本の内容の変更を求めるっていうのはかなり難しい。
多分、映画なんかだと、完全におまかせ状態の筈。
でなきゃ、製作が進行しなくなっちゃうもん。

原作者の方は、障がいのある人達が夢を持てる内容なら、と望んでいた。
それはよくわかる。
でも、作品の受けとめ方は人それぞれなんで、
原作者から見て、良く無い、と思えたとしても、
観客はそうじゃなかったりする事だってある。
監督さんの理念だって尊重されるべき。

信条的な面から、土屋アンナちゃんは舞台をボイコットした訳で、
それは、気持ちとしてはわかるけど、
一演者に過ぎない彼女にそういう権限があるとは思えない。
意見を言うのは良いけど、作品はあくまでも監督や製作者のものなのだから。
途中でキャンセルして、制作不能に追い込んじゃったら、
やっぱりペナルティを負わなくちゃね。
監督だけじゃなく、作品に関わっている大勢の人達に対しての責任もある。

原作者の方にしろ、土屋アンナちゃんにしろ、
この監督さんのこれまでの作品傾向を理解していたのかどうか。
そこの信頼関係がちゃんと出来ていたのかなぁ?

結局の所、出版元や代理人のハンドリングがマズかったんだろう。
光文社は中堅出版社として実績のある会社なのに、どうしたんだろうね。
著作権者を守ろうという姿勢があまり感じられない。

今回の事が騒動になって、各TV局で繰り返し本が紹介されたので、
購入希望者が増え、おそらくこの後増刷されるだろう。
嫌な見方ではあるけど、光文社は一人勝ち。

この後裁判だ何だってなったら面倒だけど、そうするとお金がかかるので、
新たに代理人を立てて話し合い解決されるんだろう。

...事件は事件として、
それでも、本が広く紹介されたのだから、多くの人達に読んでもらえる、
原作者の方には、そういう明るい点を見ていってもらえれば、と思う。
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