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マンガ家Mの日常
2005年本国スウェーデンに続き、2008年に日本で発行され、
世界的大ベストセラーとなったミステリー小説「ミレニアム」。
著者スティーグ・ラーソンのパートナーとして作品に携わった
エヴァ・ガブリエルソンによる回想録。
暫く手付かずだったのを、やっと読了。

エヴァの専門は建築で、専業の作家ではないので、
読み物としては、やや物足りない感はある。
それでも、ラーソンの人物像と社会背景をつぶさに感じられる。

ドキュメンタリーにもなっていたように、
エヴァは長年のパートナー、共著者でありながら、
正式な結婚の手続きを行っていなかった為、法的に相続権が無く、
ラーソンの父と弟が著作権を含め、全てを相続し、
エヴァは共同購入していたアパートさえ失いかねない状況にあった。
印税収入の大半をラーソンの父と弟に渡すことを条件に、
著作管理権者として認められるよう、弁護士を通じて再三申し出たが、
父と弟はずっと拒否し続けている。
今作の発行以降、どうなったのだろうか。

ラーソンはジャーナリストとして極右勢力に対抗する立場をとっており、
婚姻でエヴァの個人情報が特定され、
極右勢力からの攻撃がエヴァに及ぶのを避けるべく、
敢えて事実婚状態を継続していた。
仕事のストレス等から、体調不良を感じることもしばしば有ったようだが、
まさか50歳の若さで、心筋梗塞でこの世を去るとは思いも及ばなかった。

ラーソンのパソコンには4部の途中までの原稿や、
5部の草稿が入っていると見られているが、
相続の問題が片付かず、未発表のまま、
別のライターによって、別の4〜6部が発表された。
何とも言い難い。

一般的には、スウェーデンといえば福祉国家としての認識が高いが、
「ミレニアム」や今作を読むと、人種問題や極右勢力の台頭で、
北欧の寒気を更に重苦しく凍らせている。
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