4の続き。
本作は雑誌とデジタル配信で既に3年程前から発表済みなので、
この場では原作とコミックのストーリーに触れています。
未読で、コミックス発売後に読まれる予定の方はこの記事は避けて下さい。
ネタバレします。
ペニー・ジョーダンの作品はこれ1作しか読んでいないのですが、
人気作家で、数々の代表作もある事と思います。
ただ、私としては納得しかねる部分があり、当時の担当編集者に相談したところ、
「ペニー・ジョーダンの作品では犯罪スレスレの部分もあるから。」
といった返事でした。
そういうギリギリ感が読者には刺激的で好まれる要素なのかもしれませんが、
受け入れられないものを描く事は出来ず、大幅にストーリーを変更しました。
ヒロインが友人の助けを得て、男性のホテルの部屋に忍び込むシーン。
一流ホテルでは有り得ない。
しかしこれは必要なエピソードだったので、
ヒロインに「これは犯罪だ。」と言わせる形にして、自分を納得させました。
その後酔っ払ったヒロインがベッドで寝てしまい、部屋に戻った男性に妖艶に迫り、
ヒロインは堅物で、全くの未経験だったのですが、
原作ではこの後セックスして、妊娠してしまいます。
いくら何でも無理があるので、ヒロインが未経験だという事は書きませんでした。
それよりも、どうしても描きたくなかったのは、
男性が見ず知らずで、完全に酩酊状態にあるヒロインとセックスしてしまった事。
初対面でワンナイトラブというのは構わないのですが、
意識の無い状態の女性を抱く男なんて、許し難く、信用も何も出来ません。
おまけに、あろう事か、妊娠させてしまうなんて。
女性の人生を何だと思っているのでしょうか。
なので、コミックでは、
男性はきちんと思いとどまり、
ヒロインだけが、セックスしてしまったものと思い込んだようにしました。
当然妊娠もする筈ありません。
しかし、原作では妊娠ありきで話が進んでおり、
男性の方でも、責任を取るという気持ちもあって、関係が発展していきます。
早い段階でこのエピソードがあるので、
その後の二人の心理の展開が全く違うものになり、
あらゆる事を操作し直さなくてはなりませんでした。
全く違う話になったのです。
(続く。)
本作は雑誌とデジタル配信で既に3年程前から発表済みなので、
この場では原作とコミックのストーリーに触れています。
未読で、コミックス発売後に読まれる予定の方はこの記事は避けて下さい。
ネタバレします。
ペニー・ジョーダンの作品はこれ1作しか読んでいないのですが、
人気作家で、数々の代表作もある事と思います。
ただ、私としては納得しかねる部分があり、当時の担当編集者に相談したところ、
「ペニー・ジョーダンの作品では犯罪スレスレの部分もあるから。」
といった返事でした。
そういうギリギリ感が読者には刺激的で好まれる要素なのかもしれませんが、
受け入れられないものを描く事は出来ず、大幅にストーリーを変更しました。
ヒロインが友人の助けを得て、男性のホテルの部屋に忍び込むシーン。
一流ホテルでは有り得ない。
しかしこれは必要なエピソードだったので、
ヒロインに「これは犯罪だ。」と言わせる形にして、自分を納得させました。
その後酔っ払ったヒロインがベッドで寝てしまい、部屋に戻った男性に妖艶に迫り、
ヒロインは堅物で、全くの未経験だったのですが、
原作ではこの後セックスして、妊娠してしまいます。
いくら何でも無理があるので、ヒロインが未経験だという事は書きませんでした。
それよりも、どうしても描きたくなかったのは、
男性が見ず知らずで、完全に酩酊状態にあるヒロインとセックスしてしまった事。
初対面でワンナイトラブというのは構わないのですが、
意識の無い状態の女性を抱く男なんて、許し難く、信用も何も出来ません。
おまけに、あろう事か、妊娠させてしまうなんて。
女性の人生を何だと思っているのでしょうか。
なので、コミックでは、
男性はきちんと思いとどまり、
ヒロインだけが、セックスしてしまったものと思い込んだようにしました。
当然妊娠もする筈ありません。
しかし、原作では妊娠ありきで話が進んでおり、
男性の方でも、責任を取るという気持ちもあって、関係が発展していきます。
早い段階でこのエピソードがあるので、
その後の二人の心理の展開が全く違うものになり、
あらゆる事を操作し直さなくてはなりませんでした。
全く違う話になったのです。
(続く。)
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3年程前に雑誌掲載されて、デジタル配信もされているので、
今回はストーリーに触れます。
未読で、コミックスが出たら読もう、と思って下さっている方は、
ネタバレしますので、この先は読まないで下さい。
ハーレクインの場合、原作ありきの仕事なので、
原作を無視する訳にはいかないのだけど、
しばしば納得出来ないストーリー展開にぶち当たる。
候補を何作か預かってる場合、その中から選ぶ事も出来るのだけど、
どれもこれも納得いかなかったり、水準が低かったりすると、困った事になる。
「美しき侵入者」の場合は、
作者のペニー・ジョーダンが亡くなられて、その追悼本という形だったので、
尚の事、候補作を選べる状態では無かったように記憶している。
ペニー・ジョーダンはベテラン作家で、ハーレクインでは、
ノーラ・ロバーツ、ミランダ・リーらと共に高い人気を誇っている。
構成や設定等で、成る程と思える点は確かにあったのだけど、
刺激的なドラマ作りのせいなのか、個人的にどうしても受け入れられない設定、
日本の読者には好まれないと思われる設定があり、
それを避けてドラマを仕上げる為に、中盤以降、話を大きく変更する事になった。
読者にとって、ある種の際どさがペニー・ジョーダンの魅力だとしたら、
それは失われたと思われても致し方無い。
(続く。)
今回はストーリーに触れます。
未読で、コミックスが出たら読もう、と思って下さっている方は、
ネタバレしますので、この先は読まないで下さい。
ハーレクインの場合、原作ありきの仕事なので、
原作を無視する訳にはいかないのだけど、
しばしば納得出来ないストーリー展開にぶち当たる。
候補を何作か預かってる場合、その中から選ぶ事も出来るのだけど、
どれもこれも納得いかなかったり、水準が低かったりすると、困った事になる。
「美しき侵入者」の場合は、
作者のペニー・ジョーダンが亡くなられて、その追悼本という形だったので、
尚の事、候補作を選べる状態では無かったように記憶している。
ペニー・ジョーダンはベテラン作家で、ハーレクインでは、
ノーラ・ロバーツ、ミランダ・リーらと共に高い人気を誇っている。
構成や設定等で、成る程と思える点は確かにあったのだけど、
刺激的なドラマ作りのせいなのか、個人的にどうしても受け入れられない設定、
日本の読者には好まれないと思われる設定があり、
それを避けてドラマを仕上げる為に、中盤以降、話を大きく変更する事になった。
読者にとって、ある種の際どさがペニー・ジョーダンの魅力だとしたら、
それは失われたと思われても致し方無い。
(続く。)
朝刊を見て驚きました。
死因ははっきり出ていなくて、病死とのみあります。
享年57歳だそうです。
早過ぎます。
そういえば、プリンスも57歳だった。
ご冥福をお祈り申し上げます。
死因ははっきり出ていなくて、病死とのみあります。
享年57歳だそうです。
早過ぎます。
そういえば、プリンスも57歳だった。
ご冥福をお祈り申し上げます。
カバー折り返しのコメントと後書き執筆。
ほぼ文章作業のみ。
本編の原稿の修正はしなくても大丈夫の筈なのだけど、
やはり一通りゲラ刷りに目を通す。
セリフは問題無し。
級数もバランス良く吹き出しに収まってる。
誤植も見当たらない。
作品はもう3年程前に仕上げたものなので、
今見ると、何だか他人の顔をしてる。
すぐには感情移入出来ない。
あれっ、この程度の出来だったかな?と思えてしまった。
他は全部書き下ろしコミックスだったので、
雑誌とコミックスのサイズの違いの感覚もあるかも。
工場買収が話の起点なので、その辺の台詞が難しかったりもする。
原作で分かりにくい部分があったんで、
起業家の社長さんに具体的に教えてもらったりしたんだよね。
少しして、もう一度見直すと、さっきよりは良い感じに思えて来た。
話の筋が頭に入った事で、安心して登場人物の気持ちに集中出来たからかな。
繰り返し読み易いのがコミックスの良いところ。
皆さん、何度でも読んでね。
1回読んでさっさとブックオフに持って行くのではなく、
長く手元に置いて、じっくり読めば読む程良いと思えてもらえると嬉しい。
コメントと後書きだけなので、作業は面倒では無い。
でもね、
名前さえ知らなかった編集さんから突然電話があって、
コミックスの為にコメントと後書きを制作するよう言われて、
料金着払いで編集部に送るよう言われて...。
たかだかコメントと後書きだけど、
会った事も無い編集者に、顔を合わせての受け渡しも無く、宅配便で送るのって...。
作品作りの第一段階として、
担当編集者の為に頑張ろうというのがある筈なんだけど、
着払いの為に頑張ろうという気持ちにはなれないよね。
コミックスの書き足し原稿は基本、原稿料出ないし、
宅配するとなると、梱包の手間もバカにならないんで、
見ず知らずの相手にそういうのを要求するのって、礼を欠いてるんじゃないかな。
マンガ原稿はネット通販商品か?
大手でも、正規の編集者は極僅かな人数で、
外部の編集プロダクションに仕事を任せきりにする編集部もあるし、
原稿の受け渡しだけなら業者やお遣いさんが動く。
でも、そういうのにしたって、
担当編集者と作家の間に信頼関係が育ってからの話だと思うんだ。
何だかね、もう、
信頼関係を築くなんてのは、絶滅危惧種になりつつあるのかな。
余程環境が整っている場合には良いコミュニケーションもあるのだろうけど。
侘しいね。
ほぼ文章作業のみ。
本編の原稿の修正はしなくても大丈夫の筈なのだけど、
やはり一通りゲラ刷りに目を通す。
セリフは問題無し。
級数もバランス良く吹き出しに収まってる。
誤植も見当たらない。
作品はもう3年程前に仕上げたものなので、
今見ると、何だか他人の顔をしてる。
すぐには感情移入出来ない。
あれっ、この程度の出来だったかな?と思えてしまった。
他は全部書き下ろしコミックスだったので、
雑誌とコミックスのサイズの違いの感覚もあるかも。
工場買収が話の起点なので、その辺の台詞が難しかったりもする。
原作で分かりにくい部分があったんで、
起業家の社長さんに具体的に教えてもらったりしたんだよね。
少しして、もう一度見直すと、さっきよりは良い感じに思えて来た。
話の筋が頭に入った事で、安心して登場人物の気持ちに集中出来たからかな。
繰り返し読み易いのがコミックスの良いところ。
皆さん、何度でも読んでね。
1回読んでさっさとブックオフに持って行くのではなく、
長く手元に置いて、じっくり読めば読む程良いと思えてもらえると嬉しい。
コメントと後書きだけなので、作業は面倒では無い。
でもね、
名前さえ知らなかった編集さんから突然電話があって、
コミックスの為にコメントと後書きを制作するよう言われて、
料金着払いで編集部に送るよう言われて...。
たかだかコメントと後書きだけど、
会った事も無い編集者に、顔を合わせての受け渡しも無く、宅配便で送るのって...。
作品作りの第一段階として、
担当編集者の為に頑張ろうというのがある筈なんだけど、
着払いの為に頑張ろうという気持ちにはなれないよね。
コミックスの書き足し原稿は基本、原稿料出ないし、
宅配するとなると、梱包の手間もバカにならないんで、
見ず知らずの相手にそういうのを要求するのって、礼を欠いてるんじゃないかな。
マンガ原稿はネット通販商品か?
大手でも、正規の編集者は極僅かな人数で、
外部の編集プロダクションに仕事を任せきりにする編集部もあるし、
原稿の受け渡しだけなら業者やお遣いさんが動く。
でも、そういうのにしたって、
担当編集者と作家の間に信頼関係が育ってからの話だと思うんだ。
何だかね、もう、
信頼関係を築くなんてのは、絶滅危惧種になりつつあるのかな。
余程環境が整っている場合には良いコミュニケーションもあるのだろうけど。
侘しいね。
雑誌掲載作品のコミックス化に当たって、ハーレクインでは原則
セリフの変更はいくらでもO.K.だけど、絵の直しは15ページまで、とされている。
デジタル入稿になった段階で、
掲載後の絵の直しはさせてもらえないもんだと認識していたので、
今回に関しては特に問題は無いです。
見返してたらそりゃあキリが無いとは思うんだけど。
雑誌掲載の場合、どうしても締め切りの日程がキツくなる。
何度も言うようだけど、それは結局経費との兼ね合いがあって、
月産40ページ程度をコンスタントに仕上げていくには
相当数のアシスタントさんが必要で、アシスタントさんへのお給料で
原稿料は全て消えて無くなると言っても過言では無い、
現行の原稿料ではね。
生きていけない。
なので、一応マンガとしての骨格を整え、雑誌掲載に値する段階まで
何とか体裁を整えて出すものの、
あちらこちらに不備や不満が大小残ってしまい、
コミックスの段階で納得いくまで時間をかけて修正する。
以前のアナログ方式ならそれが許されたんだけど、
デジタル入稿になると、デジタル処理にかかる費用の問題があるので、
出版社側も原稿の修正をしたがらなくなる。
初版100万部とか、よっぽど売れるなら別だろうけど。
この摩擦は暫く引きずるだろう。
私の場合で言うと、
先に書いた通り、原稿の修正は出来ないものと覚悟して作業していたので、
仕上げにはかなりこだわった。
当然、時間もかかるし、その分アシスタントさんの手も多く必要となった。
締め切りギリギリになると編集者も良い顔はしない。
電話口で、どう言い訳しようか、悩みながら応対を重ねる。
「母さん、だって、仕方無いじゃないか。」えなりかずき的な?
編集さんによれば「全部直したい。」と言うマンガ家さんもおられるらしい。
確かにそうなんだろうけど、そうはいかんでしょ。
不備があっても、それがそのマンガ家さんの実力として評価されるしかない。
もしくは、出版社がデジタル処理の費用を増額する?
そのマンガ家さんの為に個別に?
それは不公平だよね。
もしくは、マンガ家さんの印税からデジタル処理費用を差し引く?
そうしたら、印税が入るどころか、持ち出しになるかも。
時間と経費の問題を考えれば、編集者、マンガ家共々納得行くものを仕上げるのは
はっきり言って、現行の契約内容では、無理!
「読者は手抜きを嫌がるんです。」って、
そりゃそうだよ。マンガ家だって手抜きは嫌だよ。
でも、マンガ家だって、生きていかなきゃならないんだよ!!!
せめて刷り出しは3部よこせよ!
セリフの変更はいくらでもO.K.だけど、絵の直しは15ページまで、とされている。
デジタル入稿になった段階で、
掲載後の絵の直しはさせてもらえないもんだと認識していたので、
今回に関しては特に問題は無いです。
見返してたらそりゃあキリが無いとは思うんだけど。
雑誌掲載の場合、どうしても締め切りの日程がキツくなる。
何度も言うようだけど、それは結局経費との兼ね合いがあって、
月産40ページ程度をコンスタントに仕上げていくには
相当数のアシスタントさんが必要で、アシスタントさんへのお給料で
原稿料は全て消えて無くなると言っても過言では無い、
現行の原稿料ではね。
生きていけない。
なので、一応マンガとしての骨格を整え、雑誌掲載に値する段階まで
何とか体裁を整えて出すものの、
あちらこちらに不備や不満が大小残ってしまい、
コミックスの段階で納得いくまで時間をかけて修正する。
以前のアナログ方式ならそれが許されたんだけど、
デジタル入稿になると、デジタル処理にかかる費用の問題があるので、
出版社側も原稿の修正をしたがらなくなる。
初版100万部とか、よっぽど売れるなら別だろうけど。
この摩擦は暫く引きずるだろう。
私の場合で言うと、
先に書いた通り、原稿の修正は出来ないものと覚悟して作業していたので、
仕上げにはかなりこだわった。
当然、時間もかかるし、その分アシスタントさんの手も多く必要となった。
締め切りギリギリになると編集者も良い顔はしない。
電話口で、どう言い訳しようか、悩みながら応対を重ねる。
「母さん、だって、仕方無いじゃないか。」えなりかずき的な?
編集さんによれば「全部直したい。」と言うマンガ家さんもおられるらしい。
確かにそうなんだろうけど、そうはいかんでしょ。
不備があっても、それがそのマンガ家さんの実力として評価されるしかない。
もしくは、出版社がデジタル処理の費用を増額する?
そのマンガ家さんの為に個別に?
それは不公平だよね。
もしくは、マンガ家さんの印税からデジタル処理費用を差し引く?
そうしたら、印税が入るどころか、持ち出しになるかも。
時間と経費の問題を考えれば、編集者、マンガ家共々納得行くものを仕上げるのは
はっきり言って、現行の契約内容では、無理!
「読者は手抜きを嫌がるんです。」って、
そりゃそうだよ。マンガ家だって手抜きは嫌だよ。
でも、マンガ家だって、生きていかなきゃならないんだよ!!!
せめて刷り出しは3部よこせよ!