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マンガ家Mの日常
「セッション」について書いていて、ふと考えた。

ジャズに限らず、芸術では、奇跡的な確率で現れるスターの位置を目指して
無数の人々が凌ぎを削り、無数引く1の数の人達が敗れ去り、挫折する。

芸術学校はそれで構わない。

マンガ雑誌も同じ事。

昔々はデビューの間口がすごく狭くて、
マンガスクール等で余程高い得点を取らないとデビューさせてもらえなかった。
でも80年代に入る頃には、どこの出版社、雑誌でも、
とりあえずデビューさせて、
読者の反応を見てから切るか残すか決めるようになった。
それが良いやり方かどうかは疑問だけどね。
加えて、一時期のマンガブーム以降急激に雑誌が増えて、
ボーダーラインでもある程度生き残れるようになった。ラッキー。

1冊の雑誌に10〜15本程度の作品が掲載される。
でも読者はその中の2、3〜数本程度が目当てで購買する訳で、
掲載作品の半分くらいは、価値を評価されているとは言い難い。
ゴメンね。
...って、他人事じゃないか。

仮に、出版社の少女女性マンガ部門で
コミックス100万部売れてる作家が10人いたとする。
その10人をまとめて、最強の雑誌を作ってもらえたら、読者は一番喜ぶ。
雑誌は大ヒット間違い無し!
...でも、出版社は喜ばない。

100万部作家10人をまとめたら、1000万部売れるかと言えば、
そうはならない。読者が被るから。
「ジャンプ」でも400万部だからね。
「サンデー」が100万部作家を数名抱えていた時期で200万部くらい。
なので、とりあえず300万部と仮定する。

確かに凄い数字だけど、出版社としてはそうは考えない。
雑誌を5冊作って、100万部作家を1冊に2名配置して、
それぞれ100万部売れたら、500万部の売り上げとなる。
もしくは、雑誌を10冊作って、100万部作家を1名ずつ配置して、
50万部ずつ売れたら、やっぱり500万部の売り上げ。
この方が儲かる。

正式なリサーチは何もしていないので、あくまでも私個人の見方なのだけど、
考え方として的は外していないと思う。
実際、各雑誌の作りってそうなってるから。
コストの問題があって、コミックスに比べて雑誌自体は利益は低いけど、
ある程度以上の数字に届いたら、その後はお札を刷ってるようなもんだって。


アンケートで下位の作家はただの穴埋めのようなもので、
上位の作家に食わせてもらっていると言える。

でも、雑誌としては必要な戦力な訳で、
新人には勉強の場が必要だし、少数派ファンのニーズもある。
耐えて残り続ければ、やがていくらかは力も付いて来て、
その作家の力や個性が最大限活かされる時代に巡り合うかもしれない。

今流行りの、お休み中の働き蟻理論?

いつかは頑張れる働き蟻でいようね。
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