「SHERLOCK」で人気沸騰中、ベネディクト・カンバーバッジ主演、
実話を基にした作品。
アラン・チューリングは特に数学に秀でた類稀なる頭脳の持ち主で、
同時にアスペルガー症候群で、同性愛者だった。
少年時代は寄宿学校で過ごしたが、同級生にいじめられる毎日。
たった一人親切にしてくれたクリストファーにほのかな恋心を抱くが、
間も無く結核で亡くなってしまう。
20代前半で論文を高く評価され、大学教授となり、
第2次世界大戦の最中、軍の要請でドイツの暗号機エニグマ解読の仕事につく。
解読は難航し、チームの他のメンバーとの間に軋轢も生じる。
途中参加した女性ジョーンとは何故か馬が合い、
ジョーンの仲立ちもあって、次第にチーム内での友情が育まれる。
チューリングがゴリ押しして製作した、
コンピューターの原型とも言える機械も苦戦していたが、
通信傍受スタッフの女性がドイツの暗号送信者の癖に気付いた事から
解読の端緒を見出し、機械が見事に機能し始める。
チューリングは機械にクリストファーと名付けていた。
メンバーの一人ジョンは解読で得られた情報から
兄が乗船している軍船がドイツの強敵になっていると知り、
兄を助けるべく軍に反撃を求めようとするが、
エニグマ解読をドイツに知られては、
またすぐ別のシステムに切り替えられる恐れがある為、
チューリングの判断でジョンの願いは退けられてしまう。
戦争を勝利に導くには、時に非情な決断も為さねばならない。
当時英国では同性愛は犯罪とみなされ、チューリングも脅されていた。
ジョーンはチューリングを救うべく、婚約を提案する。
良い関係が出来るように思われたが、その後ジョーンの身を案じてはねつける。
戦後研究職に戻ったが、男娼を買ったことが警察に知られて逮捕され、
投獄か治療科の選択を迫られ、機械のクリストファーと離れ難いチューリングは
薬物治療を受ける。
精神的疲労が募り、1年後自殺する。
同性愛者だった為に、研究の道を奪われた悲劇。
軍の機密情報という性質からか、チューリングに関する事は
戦後50年間程非公開とされていて、ようやく名誉回復が成った。
どこまでが脚色なのかは分からないのだけど、
基本の物語は事実に基づいている訳で、設定も何も無いんだけど、
やっぱりマンガのネームと比較しながら見てしまった。
話の設定として、まず暗号機エニグマの解読という主たる目標があり、
同時にアスペルガー症候群のチューリングが仲間とどう打ち解け合い、
協力関係を築けるかもテーマの一つであり、
更に同性愛の問題が絡んでくる。
マンガ家がこれをプロットとして出したら、編集者には
「設定が複雑で分かり難い。要素が多過ぎる。」として差し戻される。
確かに要素が多くて、見る側にとって焦点を絞り辛い。
とは言え、どれかを外してしまったら、あまりにも単純な話になって
人間の複雑な感情や悩みが表現されなくなる。
わかり易さを取って、整理して単純化してしまうのは、
人間性の深みに欠け、ものの見方が浅はかになりはしないだろうか。
マンガ編集者の過度なメジャー志向に懸念を感じる。
チューリングはアスペルガー症候群故に、嘘がつけず、冗談が理解出来ない。
しかし、メンバーと打ち解ける為にジョークにも取り組む。
嘘がつけない性質だったが、人生で2度だけ嘘をついた。
寄宿学校時代、亡くなったクリストファーと仲が良かった事から
学長がチューリングに気遣って話をしたが、
チューリングは真っ向から否定して、悲しくない素振りをして見せた。
クリストファーとの思い出を心の内に大事にしまっておく為か。
そして、ジョーンの安全の為に、嫌いな素振りをして身を引いた。
大好きな人との関係性の為にさえ傷付く。
ゆるゆる動くどデカイコンピュータは今見るとおかしな感じだけど、
これが無ければ手のひらに収まるスマホも無かった。
スゴイ事だね。
暗号の送信者の癖に関しては、
少し前に見た「エレメンタリー」でも言われてたな。
シャーロック・ホームズ繋がり。
チューリングが持ち帰って復元した機械にクリストファーと名付けて、
友人の人格が宿っているかのように扱っていたのは奇異に見えるけれど、
この場合の機械は、ただの計算機であるコンピューターではなくて、
人工知能、ロボットを目指して作られていた、との事。
その違いすら、凡人にはよく分かってなかったりする。
チューリングが「モンスター」と呼ばれたり、
タイトルの「イミテーション」という単語等とも繋がっていく。
チューリングは頭が良過ぎて、他の人とは話が通じない。
アスペルガー症候群故に、人間的感情や曖昧さに対応するのが不得手。
高性能の人工知能が完成すれば、チューリングの良き友人になったのだろう。
余談になるけど、Wikiを見たら、脚本家が歴史的整合性の問題に触れていた。
映画の歴史的整合性を見定めるのを「ファクトチェック」と言う。
やはり脚色に関して何らかの批判はあったようで、それに対して
「アートの仕組みを誤解している。」と語っていた。
「フォックスキャッチャー」や「セッション」に関して私が書いたのと
通じる考え方だろうと思われる。
ジョーン役のキーラ・ナイトレイがキュートだった。
俳優としてのキャリアから、役柄よりかなり年齢がいっているのではと思ったが、
何と1985年3月生まれで、撮影時は28歳。
子役でデビューしてから、ずっとヒット作に出続けているのね。
蛇足だけど、痩せた体型については生まれつきのもので、
映画によってはもうちょっと胸があるようにCG処理されたり、
お尻だけのシーンでは替え玉が使われたりしてるんだって。
実話を基にした作品。
アラン・チューリングは特に数学に秀でた類稀なる頭脳の持ち主で、
同時にアスペルガー症候群で、同性愛者だった。
少年時代は寄宿学校で過ごしたが、同級生にいじめられる毎日。
たった一人親切にしてくれたクリストファーにほのかな恋心を抱くが、
間も無く結核で亡くなってしまう。
20代前半で論文を高く評価され、大学教授となり、
第2次世界大戦の最中、軍の要請でドイツの暗号機エニグマ解読の仕事につく。
解読は難航し、チームの他のメンバーとの間に軋轢も生じる。
途中参加した女性ジョーンとは何故か馬が合い、
ジョーンの仲立ちもあって、次第にチーム内での友情が育まれる。
チューリングがゴリ押しして製作した、
コンピューターの原型とも言える機械も苦戦していたが、
通信傍受スタッフの女性がドイツの暗号送信者の癖に気付いた事から
解読の端緒を見出し、機械が見事に機能し始める。
チューリングは機械にクリストファーと名付けていた。
メンバーの一人ジョンは解読で得られた情報から
兄が乗船している軍船がドイツの強敵になっていると知り、
兄を助けるべく軍に反撃を求めようとするが、
エニグマ解読をドイツに知られては、
またすぐ別のシステムに切り替えられる恐れがある為、
チューリングの判断でジョンの願いは退けられてしまう。
戦争を勝利に導くには、時に非情な決断も為さねばならない。
当時英国では同性愛は犯罪とみなされ、チューリングも脅されていた。
ジョーンはチューリングを救うべく、婚約を提案する。
良い関係が出来るように思われたが、その後ジョーンの身を案じてはねつける。
戦後研究職に戻ったが、男娼を買ったことが警察に知られて逮捕され、
投獄か治療科の選択を迫られ、機械のクリストファーと離れ難いチューリングは
薬物治療を受ける。
精神的疲労が募り、1年後自殺する。
同性愛者だった為に、研究の道を奪われた悲劇。
軍の機密情報という性質からか、チューリングに関する事は
戦後50年間程非公開とされていて、ようやく名誉回復が成った。
どこまでが脚色なのかは分からないのだけど、
基本の物語は事実に基づいている訳で、設定も何も無いんだけど、
やっぱりマンガのネームと比較しながら見てしまった。
話の設定として、まず暗号機エニグマの解読という主たる目標があり、
同時にアスペルガー症候群のチューリングが仲間とどう打ち解け合い、
協力関係を築けるかもテーマの一つであり、
更に同性愛の問題が絡んでくる。
マンガ家がこれをプロットとして出したら、編集者には
「設定が複雑で分かり難い。要素が多過ぎる。」として差し戻される。
確かに要素が多くて、見る側にとって焦点を絞り辛い。
とは言え、どれかを外してしまったら、あまりにも単純な話になって
人間の複雑な感情や悩みが表現されなくなる。
わかり易さを取って、整理して単純化してしまうのは、
人間性の深みに欠け、ものの見方が浅はかになりはしないだろうか。
マンガ編集者の過度なメジャー志向に懸念を感じる。
チューリングはアスペルガー症候群故に、嘘がつけず、冗談が理解出来ない。
しかし、メンバーと打ち解ける為にジョークにも取り組む。
嘘がつけない性質だったが、人生で2度だけ嘘をついた。
寄宿学校時代、亡くなったクリストファーと仲が良かった事から
学長がチューリングに気遣って話をしたが、
チューリングは真っ向から否定して、悲しくない素振りをして見せた。
クリストファーとの思い出を心の内に大事にしまっておく為か。
そして、ジョーンの安全の為に、嫌いな素振りをして身を引いた。
大好きな人との関係性の為にさえ傷付く。
ゆるゆる動くどデカイコンピュータは今見るとおかしな感じだけど、
これが無ければ手のひらに収まるスマホも無かった。
スゴイ事だね。
暗号の送信者の癖に関しては、
少し前に見た「エレメンタリー」でも言われてたな。
シャーロック・ホームズ繋がり。
チューリングが持ち帰って復元した機械にクリストファーと名付けて、
友人の人格が宿っているかのように扱っていたのは奇異に見えるけれど、
この場合の機械は、ただの計算機であるコンピューターではなくて、
人工知能、ロボットを目指して作られていた、との事。
その違いすら、凡人にはよく分かってなかったりする。
チューリングが「モンスター」と呼ばれたり、
タイトルの「イミテーション」という単語等とも繋がっていく。
チューリングは頭が良過ぎて、他の人とは話が通じない。
アスペルガー症候群故に、人間的感情や曖昧さに対応するのが不得手。
高性能の人工知能が完成すれば、チューリングの良き友人になったのだろう。
余談になるけど、Wikiを見たら、脚本家が歴史的整合性の問題に触れていた。
映画の歴史的整合性を見定めるのを「ファクトチェック」と言う。
やはり脚色に関して何らかの批判はあったようで、それに対して
「アートの仕組みを誤解している。」と語っていた。
「フォックスキャッチャー」や「セッション」に関して私が書いたのと
通じる考え方だろうと思われる。
ジョーン役のキーラ・ナイトレイがキュートだった。
俳優としてのキャリアから、役柄よりかなり年齢がいっているのではと思ったが、
何と1985年3月生まれで、撮影時は28歳。
子役でデビューしてから、ずっとヒット作に出続けているのね。
蛇足だけど、痩せた体型については生まれつきのもので、
映画によってはもうちょっと胸があるようにCG処理されたり、
お尻だけのシーンでは替え玉が使われたりしてるんだって。
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