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マンガ家Mの日常
何を書くつもりだったか少しずつ思い出した。
思い出してみたらば、たいした話でもなかったんだけど、
やりかけた事なので続ける事にする。

マンガの仕事は投稿に始まって、プロットからネームのチェックへと続いてゆく。
その度に、チェックと言う名の批判を聞かされる。
おっと、言葉が過ぎたね、編集さんの大事な仕事なんだから。
でも、まぁ、さんざんな事を言われる。
それを覚悟の上でネームを提出する、それがマンガの仕事。

言われた事をスパッとすぐに修整するタイプの人もいて、
そういう人は編集さんに大変心証が良い。すぐに連載をもらえる。
私は大半は自分の意見に合わせるよう持って行こうとするので、まぁ嫌われる。
打ち合わせの時は素直に返事していても、
内心「そっちの言ってる事ちげぇ〜よ。」と悪態をついている(事もある)。
そして、流す。

あらゆる方面から批判を受けるのも仕事のうちとして認識しているので
大概の事は我慢している。
でも、我慢しているからといって、ダメージが無い訳では無い。
ひどく落ち込むけど、ひたすら自分を信じ続ける、それに尽きる。

以前、都市銀行の行員さんの話を聞く事があって、なんでも
入社後暫くの頃、上司に書類を提出すると「赤」だらけで戻って来て、
大変ムカついていたそうな。
ムカつくって、笑える。出来の悪い書類なんだから修整するしかないじゃん。
時を経て、その方も今頃、部下の出来の悪い書類にムカついている事だろう。

とある雑誌の仕事、
増刊号で原作物のマンガを2回に分けて描く事になった。
ところが、1回目が載ったところでいきなり増刊が廃刊になり、
後半は本誌の方にページ数の都合上2回に分けて掲載される事になった。
読者も混乱しただろうし、そんなんでアンケート取れる訳もないんだけど、
それはまた別の話。

物語の途中からの掲載となったので、担当者が
前半のあらすじを付けると言って来た。
原作物だから内容は決まってるんだけど、ページ数に限りもある中で、
どうしても物語の一部は変更せざるを得なかったりするので、
その確認がしっかり出来ていないままあらすじを書かれると、
後半にこちらが想定していた内容と齟齬が生じる可能性もある。
それで、掲載前にあらすじの原稿をチェックさせて欲しいと申し出た。

いきなり担当者激高!
「マンガ家が編集者の原稿をチェックするとは何事だ!」と。

なんだか、言ってる意味がわからない。
ひとつの作品に複数の人間が携わっている場合、相互チェックはすべきでしょ。
でも、その編集さんは、編集者はマンガ家の遥か高みにいるという設定なのね。
それならそれで、完璧な原稿なら、誰のチェックを受けたって平気なのでは?

落ち着いて事情を説明したら、一応見せてもらえる手はずにはなった。
日程的にギリで、ほぼスルーの形だったけど。

ヒトが作ったものに対して批評したり批判したりするのは 超簡単。
スピルバーグの映画にだって、いくらでも言える。
それはそれで良い。
だけど、逆の立場に立った時、批判を受けとめるのは本当にツライ。
作品はその人の人生そのもの。
人生を全否定されたら はたしてどんな気分になるか。
マンガの新人投稿者、或いはプロになっても、
度重なる批判に精神的にめげて筆を折る人は多い。
おそらく、その人達はそこまでの能力だったのだろうけど。

正当な批判は受けとめる。

でも、誰しも、時に批判されれば、それを受けとめるべきだとも思う。
それが出来ない人は多い。



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