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マンガ家Mの日常
本日の朝刊で訃報に接しました。

若い世代の読者の方はご存知無いと思うけど、
かつて「りぼん」で活躍されていた大御所のマンガ家さんです。

当時の「りぼん」は、一条ゆかり先生がデビューされて、
一気に華やいでいた頃だったので、
巴里夫先生の教訓的な作品には、子供心で、地味で面倒臭いイメージがあった。
さりながら、重厚なテーマの作品では比類する者無く、
心の奥底にじんわりと浸透するものがあった。

「りぼん」で文学作品のコミック化シリーズがあって、
その中で巴先生が手がけられた
野坂昭如「火垂るの墓」、一色次郎「青幻記」はいつまでも心に残った。
他のマンガ家が20歳そこそこの若さだったのに対して、
巴先生はもう少し上の世代であられたので、
文芸作品を表現する説得力があったのだろう。
「火垂るの墓」はジブリのアニメ映画で広く知られるけれど、
私にとっての「火垂るの墓」は巴先生の「火垂るの墓」しかない。

マンガの流行の波には抗えず、
「りぼん」では、巴先生はマンガスクールの監修に移行されて、
次第に作品を目にする事は無くなった。

売れ線の華やかなラブコメを押すのは編集部としては当然なのだけど、
それでも、巴先生の作品を掲載していた、当時の「りぼん」編集部の、
読者に対する使命感のようなものに謝意を贈りたい。

享年83歳、肺がんだったそうです。
ご冥福をお祈り申し上げます。

巴里夫(ともえ さとお)のペンネームは、
大好きな「巴里(パリ)」にちなんで付けられたそうです。

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