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マンガ家Mの日常
定期購読している新聞に、
里中満智子先生が短期コラムで自伝を書いておられる。
これまでにも様々な形で、生い立ちやマンガ家生活について書いてこられたので、
大体は既知の内容になるだろうか。

70代に入られても、掲載された近影は華があって素敵。


少女マンガの世界で、巨匠と呼ばれる作家さんも多くおられて、
成熟したジャンルになったと実感される。
巨匠の中でも、頂点に立つのは、やはり萩尾望都先生をおいて他にいない。

でも、萩尾先生は異端としてスタートし、
独特の世界で作家性を発揮して来られたタイプ。
女王タイプとはちょっと違う。
子供の頃から少女マンガを読み出して、感じていたのは、
当時は各社に「女王」と言える存在がいたという事。


少女マンガの黎明期に、華やかなスターとして躍り出たのが、
集英社「マーガレット」の水野英子先生、わたなべまさこ先生。
少し後に、西谷祥子先生、浦野千賀子先生。
姉妹誌として創刊された「りぼん」で、一条ゆかり先生がデビューして、
瞬く間にスターダムに駆け上がった。
作品のメジャー性、華やかさ、そして、先生ご自身のスター性を含めて、
まさに女王と呼ばれる存在として君臨。

「週刊マーガレット」で池田理代子先生が時代を築いた。

その後、集英社で発行部数の新記録を塗り替えるマンガ家さん達が
多くおられたとしても、
一条先生と池田先生を超える存在感は見当たらない。

美内すずえ先生も、どちらかといえば異端の部類かな。


集英社に対する講談社「フレンド」で、細川智恵子先生。
そして、里中満智子先生が登場し、天才少女の名を欲しいままに、
同時期の大和和紀先生と双璧で、ヒット作を披露し続けた。

キャラクターが可憐で愛くるしい大和先生に対して、
里中先生の描くヒロインは女王然とした目をしている。
作品の品格と、ご自身の美貌と、マスコミでの活躍も相まって、
講談社の女王は里中先生以外にはいない。


里中先生や一条先生は、
まさしく王道と言える少女マンガの世界を突き進んで来られた。
描かれたのは、美しく、同時に行動力と勇気を兼ね備えたヒロイン、
壮大で夢溢れる、華やかなロマンの世界。


少女マンガの世界は様々な展開を経て、進化し、広範に広がりを見せている。

しかしながら、
子供が素直に憧れを抱いたような、
純粋なロマンの世界が王道たり得なくなっている事に、
一抹の寂しさを覚えずにいられない。


時代はまた巡って来るだろうか。


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