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マンガ家Mの日常
萩尾先生とは、アシスタントとして、或いはマンガ家の大先輩と後輩として、
仕事上のお付き合いがほんの少しあっただけなので、
人間性についてしたり顔で長々と語る事も出来ないけれど、
知る限りでは、丹念にひたむきにお仕事をされ、穏やかなお人柄という印象。
ただ、どこか仙人のような、つかみどころのない雰囲気も持っておられる。

マンガ家は、一人でこもりきりで作業する状況が長いので、
個人の世界観に集中し、あまり社交的でない人も多く、
萩尾先生が必ずしも特殊な例という事はなく、
むしろ、メディア取材を多く受けておられる立場上、
相手の意図を正確に推し量り、巧みな会話をされる方でもある。

それだけに、「大泉」の中の萩尾先生の言動の頑なさから、
違う側面を見せられたように感じた。

どれ程偉大な人であっても、やはり「人間」なので、長所も短所もあり、
夢に描いた通りの完璧な姿である事は無く、
憧れの人には直接会わない方が良いと言われる場合もある。
実際、一ファンとしては、「大泉」を読んだ後では、
萩尾先生や竹宮先生の作品を読む時の目線が変わってしまう。
おそらく、そう感じたのは私だけではないだろう。
憧れの萩尾先生や竹宮先生について、深く知りたいと思う反面、
知らなければ良かったとも思うファンの方も少なからずおられる筈。

萩尾先生にとって、「大泉」は書かねばならない物だったけど、
同時に、半世紀に渡って沈黙していたのは、
過去の状況を表沙汰にするのが、堪え難い苦痛だったからで、
「大泉」を書くのも、書かないのも、辛い決断だったと推察される。

(続く。)
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