Aさんが仕事に来ない、と言うか、来る気が無いのがわかって、
その後が大変だった。

女性のマンガ家でも、多いところでは１０人近いアシスタントが
常時来ていたりする。
それだけの人数がいれば、ひとり欠けても内輪でフォローが利くかもしれないが、
ウチみたいにギリギリの少人数でやっているところでは、
ひとり欠けると進行が崩れる。

急遽、アドレスのわかるアシスタントさん何人かにメール。
今日これからは無理としても、明日から入れる人はいないだろうか。

時間を置いて、何度かに渡ってメールのチェック。
すぐに返信をくれる人もいれば、少し遅れる人もいる。
返信をしてくれない人もいる。
いずれにしろ、誰も捕まらなかった。そりゃ無理も無い。

担当さんにメールで事情を伝え、
アシスタントさんを探してもらえないか頼んだ。

夜になって、ようやくひとり見つかったとの電話連絡が入った。
いきなりな事で、担当さんにも余計な仕事をさせて迷惑をかけてしまった。
とりあえず、その方と連絡を取って、翌日から入ってもらう事になった。

締め切り直前、
担当さんが分刻みで原稿の上がりを待っている。
長期間の仕事で肩は痛むし、睡眠不足。
わずかでも集中力を切らせない大事な時。

それなのに、代理のアシスタント探しで手間を取る、
これがどれだけ辛い事で、周囲に迷惑をかけるか、
どんな職種であれ、真っ当に働いている人なら理解してもらえると思う。

急場にいきなり呼ばれたアシスタントさんも
慣れない仕事場で戸惑った事だろう。
十分とは言い難かったが、丁寧に仕事して助けてくれた。
早めに切り上げる予定だった別のアシスタントさんも、日程を延長してくれて
お陰で、少し遅れたけど、なんとか納得いく原稿が仕上がった。
担当さんも、本当はスゴく迷惑だったろうけど、辛抱強く待ってくれた。

こうしてなんとか乗り切った。

原稿が上がると、仕事期間中のあれやこれやは大概忘れてしまうものだが、
Aさんの行為は見過ごしにして良いものではなかった。

（やっぱりもう少し続く。）