次回作はペニー・ジョーダン原作の「美しき侵入者」です。
ペニー・ジョーダンはハーレクインではトップクラスの人気作家でしたが、
1年程前に若くして亡くなられました。
御冥福をお祈りします。
ペニー・ジョーダン作品は数多くコミック化され、
現在のハーレクインコミックスの人気を確立する大きな原動力ともなりました。
ところが、今作「美しき侵入者」に関しては、
これをそのまま日本のマンガ読者の方々に提供する訳にはいかないと
思われる部分があったので、原作選定の段階で一度お断りしました。
しかしながら、他に数本の原作を読んだものの、
どうにもコミック化にふさわしい作品に巡り会えなかった為、それよりは、
物語展開が魅力的なペニー・ジョーダン作品で行こう、となったのです。
私個人の姿勢としては、ページ数などの状況が許す限り
原作により忠実にコミック化する、というのが基本理念としてあります。
それは、原作者と原作のファンに対しての礼儀だからです。
現在はこうして原作物のお仕事をやらせていただいておりますが、
マンガ家としての基本はオリジナル作品にあります。
末席ながら、作家として作品を生み出す事の重みを感じて来ました。
(それは、原作物でもマンガとしての数々の取り組みがありますから、
現在も同様の重みは日々感じています。)
ですから、他人が苦労して生み出した作品には、敬意を持って臨みたいのです。
マンガ家の見栄や自己主張等で、作品に手を加えるのはやってはならない事だと
肝に命じて原作物を手掛けて来ました。
過去にお仕事をさせていただいた内田康夫先生は非常に妥協を嫌う方で、
その作家としての意識の高さがあるからこそ、全国規模の大ヒット作品を
生み出されたのだと思います。
妥協を許さない姿勢の為、TV局とのトラブルにも強い姿勢で臨み、
受け入れられない場合には番組の中止も辞さない構えでした。
それは、作品を細部まで愛するファンの方への想いでもあるのでしょう。
また、随分前に横溝正史先生の作品もコミック化させていただいていて、
その時には既に横溝先生はお亡くなりになっていたので、
奥様の孝子夫人にご挨拶に伺わせていただきました。
その折奥様から「あなたは原作を作り変えたの?」
という問い掛けを頂戴しました。
長尺の小説を限られたページにまとめなければならなかったので、
いくつかのエピソードを取り除き、話を繋ぎ合わせる為に
辻褄合わせをしなければならなかったので、あちこち変更は加えました。
ただ、その場でそれを口には出来ません。
奥様はTV化や映画化される際に原作が変えられる事を 大変悲しい様子で
お話しされておりました。
話題作りの為に、原作と異なる展開をウリにするような製作のやり方も
時々見受けられたのをかすかに覚えています。
当時はまだマンガ家になっていなかったので、一視聴者として
なんとなく見聞きしていただけでしたが。
こうした経験を踏まえると、
作家が心血注いでものした作品に手を加えるのが、どれだけ罪深い事か、
実感せずにはいられません。
作品は作家にとって我が子同然です。
もし、我が子が傷つけられたり、他人から気軽に整形を勧められたりしたら
親の立場としてどう思うか、明白であります。
こうした経緯の元に、ハーレクインにあっても、コミック化の際、
細部まで原作に忠実である事を心掛けて描いて来ました。
ですから、納得のいかない原作を扱う事は出来ず、
その為、原作の選定には非常に慎重にならざるを得ませんでした。
ところが、今回は担当編集者から送られて来た原作がどれも
納得いくものでは無く、追加、追加で候補作をいただいて読んだのですが、
時間が無駄に流れるばかりで、結局、納得いく作品に出会えませんでした。
編集者は締め切り日の通告だけ繰り返して来られるので、
こちらの立場としても追い込まれて来てしまいました。
これ以上制作を遅らせる訳にもいかず、
やむなく「原作を作り替える。」という事を編集者に伝えて了承を得た上で
制作に踏み切りました。
個人的に、これは描く訳にはいかないと思ったエピソードを省く形で
プロットを組み直し始めたのですが、
作品というのは複雑な数式のようなもので、
数字を1、2箇所変えるだけで、計算式が全て変わって来ます。
その為、予想以上に変更箇所は多岐に渡りました。
熱心に読み込んだファンの方の目にはもはや別物と映るかもしれないでしょう。
ペニー・ジョーダンには原作、コミック化作品、双方に
大勢の熱心なファンの方がおられると思います。
原作者とファンの方々には大変申し訳ない気持ちがいたします。
マンが家として、原作の魅力を少しでも多くお届け出来るよう
これから作画に勤めます。
ペニー・ジョーダンはハーレクインではトップクラスの人気作家でしたが、
1年程前に若くして亡くなられました。
御冥福をお祈りします。
ペニー・ジョーダン作品は数多くコミック化され、
現在のハーレクインコミックスの人気を確立する大きな原動力ともなりました。
ところが、今作「美しき侵入者」に関しては、
これをそのまま日本のマンガ読者の方々に提供する訳にはいかないと
思われる部分があったので、原作選定の段階で一度お断りしました。
しかしながら、他に数本の原作を読んだものの、
どうにもコミック化にふさわしい作品に巡り会えなかった為、それよりは、
物語展開が魅力的なペニー・ジョーダン作品で行こう、となったのです。
私個人の姿勢としては、ページ数などの状況が許す限り
原作により忠実にコミック化する、というのが基本理念としてあります。
それは、原作者と原作のファンに対しての礼儀だからです。
現在はこうして原作物のお仕事をやらせていただいておりますが、
マンガ家としての基本はオリジナル作品にあります。
末席ながら、作家として作品を生み出す事の重みを感じて来ました。
(それは、原作物でもマンガとしての数々の取り組みがありますから、
現在も同様の重みは日々感じています。)
ですから、他人が苦労して生み出した作品には、敬意を持って臨みたいのです。
マンガ家の見栄や自己主張等で、作品に手を加えるのはやってはならない事だと
肝に命じて原作物を手掛けて来ました。
過去にお仕事をさせていただいた内田康夫先生は非常に妥協を嫌う方で、
その作家としての意識の高さがあるからこそ、全国規模の大ヒット作品を
生み出されたのだと思います。
妥協を許さない姿勢の為、TV局とのトラブルにも強い姿勢で臨み、
受け入れられない場合には番組の中止も辞さない構えでした。
それは、作品を細部まで愛するファンの方への想いでもあるのでしょう。
また、随分前に横溝正史先生の作品もコミック化させていただいていて、
その時には既に横溝先生はお亡くなりになっていたので、
奥様の孝子夫人にご挨拶に伺わせていただきました。
その折奥様から「あなたは原作を作り変えたの?」
という問い掛けを頂戴しました。
長尺の小説を限られたページにまとめなければならなかったので、
いくつかのエピソードを取り除き、話を繋ぎ合わせる為に
辻褄合わせをしなければならなかったので、あちこち変更は加えました。
ただ、その場でそれを口には出来ません。
奥様はTV化や映画化される際に原作が変えられる事を 大変悲しい様子で
お話しされておりました。
話題作りの為に、原作と異なる展開をウリにするような製作のやり方も
時々見受けられたのをかすかに覚えています。
当時はまだマンガ家になっていなかったので、一視聴者として
なんとなく見聞きしていただけでしたが。
こうした経験を踏まえると、
作家が心血注いでものした作品に手を加えるのが、どれだけ罪深い事か、
実感せずにはいられません。
作品は作家にとって我が子同然です。
もし、我が子が傷つけられたり、他人から気軽に整形を勧められたりしたら
親の立場としてどう思うか、明白であります。
こうした経緯の元に、ハーレクインにあっても、コミック化の際、
細部まで原作に忠実である事を心掛けて描いて来ました。
ですから、納得のいかない原作を扱う事は出来ず、
その為、原作の選定には非常に慎重にならざるを得ませんでした。
ところが、今回は担当編集者から送られて来た原作がどれも
納得いくものでは無く、追加、追加で候補作をいただいて読んだのですが、
時間が無駄に流れるばかりで、結局、納得いく作品に出会えませんでした。
編集者は締め切り日の通告だけ繰り返して来られるので、
こちらの立場としても追い込まれて来てしまいました。
これ以上制作を遅らせる訳にもいかず、
やむなく「原作を作り替える。」という事を編集者に伝えて了承を得た上で
制作に踏み切りました。
個人的に、これは描く訳にはいかないと思ったエピソードを省く形で
プロットを組み直し始めたのですが、
作品というのは複雑な数式のようなもので、
数字を1、2箇所変えるだけで、計算式が全て変わって来ます。
その為、予想以上に変更箇所は多岐に渡りました。
熱心に読み込んだファンの方の目にはもはや別物と映るかもしれないでしょう。
ペニー・ジョーダンには原作、コミック化作品、双方に
大勢の熱心なファンの方がおられると思います。
原作者とファンの方々には大変申し訳ない気持ちがいたします。
マンが家として、原作の魅力を少しでも多くお届け出来るよう
これから作画に勤めます。
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