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マンガ家Mの日常
東京五輪に続いて、2回戦のみの勝利で終わった大坂なおみ選手は、
(50〜60位代の選手に立て続けに敗れていて、大丈夫なのか?)
賞金265万円を全額ハイチ支援に寄付するとし、
大会も事前の発表通り、大坂と同額の寄付を行う。計530万円。

一般人からすれば、265万円の寄付は大そうな金額だけど、
年収66億円の大坂からすると、随分こじんまりした金額になってしまった。
大坂自身が言っている通り、
これは支援に注目してもらう為の手段で、その意味では成功しているし、
他にポケットマネーで寄付するだろうと思う。


体操のバイルズ選手の年収が5億円。
これはおそらくスポンサー契約が主体で、
アメリカと日本との違い、スポーツ選手寿命の違いもあるので、
単純な比較は出来ないけれど、
例えば、日本のプロ野球では、田中将大選手は別格で、推定年俸9億円。
これが全選手の中での最高額で、その下に6〜8億円の選手が3、4人。
(年収ではなくて年俸なので、他にスポンサー契約やCMがあれば、
 年収の数字はもう少し上がる。)
で、読売巨人軍生え抜きのキャプテン坂本勇人選手の年俸が5億円。
24歳のバイルズと32歳の坂本が、ほぼ同じくらいの収入。
バイルズがいかに高い評価を得ているかが証明される数字。
大坂に至っては...。

バイルズや大坂が、ただお金だけを欲しがったとは思わないけれど、
正式に契約したからには、収入に相当する期待に応えなければならない。
お金、地位、名声、それら全てがプレッシャーとなってのしかかって来る。

勝たねばならない。
でも、負けるかもしれない。
負けたら、何て言われるだろう。
世界中に自分の負けが伝えられる。
負けた責任を問われる。

これが、鬱症状の正体。

大坂はバインコーチやマスコミのせいにして、内側の不安感から目を逸らした。
それが、見ていてスッキリしなかった。

全米初優勝、ランキング1位になった時期、
タイトルとランキングを守る為に、それまで以上のトレーニングが要求された筈。
太りやすい体質で、機敏に動ける身体作りの為のダイエットにも苦労していた。
(今は少し太っても良しとしているのかな。)
そうした苦労を他所に、
あらゆる媒体からインタビューが殺到し、メディアに頻繁に登場し、
スポンサーへの対応や、自分のファッションブランド等々、
数知れない仕事に忙殺される。
それはトップアスリートの宿命で、
若さと情熱で乗り切っている部分もあるだろうけれど、
結果的に、本来の仕事であるテニスに不調をきたす。

BLM活動や、多様性の旗印として担ぎ上げられる前に、
まず、自分が何をしたくてここまでやって来たのか、それを見直し、
やはり、マネージメントが大坂の仕事をもっと整理して、
テニスに集中できる環境を作るのが大事だと思う。
様々な活動は、豊かな葉であり、美しい花であるけれど、
大坂にとって一番重要な樹の幹は、テニスをプレーする事。
樹が枯れたら花も咲かない。

シンシナチ大会でのその後の記者会見では、少し話の方向に変化が現れていた。
最近の騒動をリセットしようとしているように見える。
大坂の頭の良さが感じられる。

続く全米オープンは大坂にとって最も重要な大会で、
大会前に気持ちの整理をして、しっかり結果を出して欲しい。

(このテーマ、一旦完了。)
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10代の頃の大坂なおみ選手は、体格に恵まれ、
日本のコーチが逸材として支援しながらも、
やっと50位前後で、3回戦止まり。
2018年にサーシャ・バインがコーチに就いてから、
それまでややポッテリしたお腹周りがシェイプされ、集中力も増した。
インディアンウェルズで優勝すると、数ヶ月後の全米オープンでは
ペナルティを受けて大騒ぎするセリーナに対して冷静さを保ち、見事優勝。
優勝インタビューでも観衆を惹きつけた。
わずか半年足らずで、一気に世界のトップに駆け上がった。
更に翌年初頭の全豪オープンでグランドスラム連続優勝して、
ランキングも1位になり、トップアスリートとしての地位を不動にした。

ランキング50位前後でも素晴らしいのだけど、
そのあたりの選手はTVの中継にも殆ど映らず、注目もされない。
やりたいトレーニングだけして、嫌なメニューは避け、少々太っても気にせず、
無理せず、持ち前の才能だけで大会をこなして来た。
賞金とスポンサー契約とで、
年収は1〜2,000万円くらいにはなったと思われるが、
ツアーの経費で大半は消えてしまうので、大した金額は残らない。

ところが、インディアンウェルズと全米優勝以降、世界は一変した。

世界中の大企業が大坂の元に日参し、セレブ達が目を輝かせて寄って来る。
収入は、セリーナを軽々と抜いて、歴代の女子アスリートとしてトップを記録。
シェイプされたボディーでハイブランドのファッションを着こなし、
インスタグラムやTwitter、ありとあらゆる発言や行動が注目の的となる。
(フェデラーやナダルがトップになった時は、
 まだSNSが今ほどの広がりを持ってなかったので、
 彼らは幸いな事に、SNSに煩わされる必要はなかった。)

大坂は、今大会のオンライン会見の中で、
テニス選手だから注目されるのだけど、バランスが取れない、と語っていた。

それが鬱症状の根本的な原因だと思う。

1、2年前までは、のんびりと楽しくテニスをやっていただけなのに、
短期間でいきなり世界中に注目されるようになってしまった。
この変化に対応出来る人はどれだけいるだろうか。

これまでは、3回戦でみっともない負け方をしたとしても、
誰にも何も言われなかったが、
今では、世界中のマスコミに騒がれる。
トップブランドのアンバサダーとして大きく宣伝され、
雑誌等々でも注目をを集めた後で、負けて失望されるのは、怖い。


シンシナチ大会も、東京五輪同様、3回戦で敗退してしまった。
ハイチへの支援の為にも優勝したいと言っていたが...。

(続く。)


敗退した選手がインタビューにプレッシャーを感じる理由について。
それは、勝ちたかったのに勝てなかった悔しさから。

では、何故勝ちたかったか。

トップアスリートであれば、その負けず嫌いは凄まじい。
幼い頃から他を圧倒し、勝ち続けて来たからこそ現在の位置にいる。

でも、トップが集結する大会になれば、負ける事も増える。
トップになればなる程、敗北に対処しなくてはならない。
フェデラー、ナダル、ジョコビッチのビッグ3は、
それぞれグランドスラムタイトル20個というとてつもない記録を保持している。
でも、20回優勝する背景で、グランドスラム決勝戦で敗退し、
タイトルを逃した悔しさも、他の多くの選手達よりも数多く経験している。


折しも、大坂なおみ選手が、開催中のシンシナチ大会初戦で勝利して、
試合後の記者会見で、敗北した選手に対する報道について触れていた。
敗北翌日の新聞で厳しい言葉を目にすると怖くなる。
徐々に鈍感になり、いつしか周囲への感謝を忘れていた、と。


ただ、スポーツに限らず、あらゆる仕事に常に評価や成果が付きまとう。
そこからは誰も逃げられない。
ベーカリーでは夜に売れ残りのパンを見て、店主は悲しい思いをしている。
でも、明日もパンを焼き続ける。


更に、トップアスリートになると、勝利が大金に繋がる。
金額に比例して、周囲の期待も膨れ上がる。

(続く。)

まだ暫くの間、こういう話題が続くのだろうか。

大坂なおみ選手が、今週始まるシンシナチ大会に先駆けて、
オンラインで記者会見を行った。
(大坂のみではなく、通常、大会前に主要な選手に対して行われる会見で、
 コロナ禍を考慮してオンラインになったのかな。)

会見後半で、地元メディアの記者が
最近の大坂のメディア対応について質問したところ、
大坂は丁寧に回答しながらも、その後泣き出して、数分間退席してしまった。

記者は大坂のマネージメントその他から批判もされたが、
当の質問等を読んだところ、そう騒ぐ程の内容でもなく、
むしろ、多くの人達が質問したかった事だったと思う。
他の記者が遠慮して訊けなかった事を、あえて質問した。

正直、仕事の現場で泣き出すとか、勘弁して欲しいと思う。
周囲も今後、大坂に対して腫れ物を触るような対応になり、
それは大坂にとっても良い事ではない。
大坂とマネージメントは、記者会見拒否の騒動について、
正式なステートメントを出す必要がある。

他の多くの事柄で注目を集めるのはOKで、何故記者会見だけがダメなのか?
敗戦直後のストレスは理解できる。
ただ、負けた時にこそ人間性が試される。
テニスの大会でも、優勝セレモニーでは、必ず先に準優勝者からの挨拶がある。
また、全仏の記者会見拒否では、大坂の真意ではないにせよ、
「お金(罰金)払えばいいんでしょ。」的なイメージが発信された。
「これくらいの罰金、痛くも痒くもないわ。」的な。


大坂や、五輪でのバイルス選手の棄権等から、
アスリートのメンタルの問題について、様々な発信を見かけるようになった。
特に、今回の五輪のインタビュースポットの形式では、
敗戦直後に複数のメディアから何度も同じ質問をされるのは苦痛だろうと。

ただ、これも、少し疑問に感じる部分がある。
五輪では、競技によっては日頃のメディア露出が少ないものもあり、
敗戦直後ではあっても、多くのインタビューを受けるのは、
その選手や競技にとって有益な場合も多いように思える。
必死の努力をしたが、勝利に手が届かなかった、実直な受け答え。
そうした選手を応援したくなるファンやスポンサーも必ずいる。

敗戦直後は落ち込んでるから、インタビューは受けたくない、
という選手の言葉が出れば、同情意見は必ず出てくるが、
インタビューを受けたい選手も少なからずいる筈。

(続く。)


テニスの新世代女王、大坂なおみ選手が、
父親の祖国ハイチの地震災害支援の為に、次の大会の賞金の全額寄付を表明。

寄付は素晴らしい事だと思いつつ…、
このところの大坂には、どうしてもちょっと引っかかりを覚えてしまう。

賞金を全額寄付するって言っても、
まだ勝ったわけではないので、初戦で敗退したら、僅かな参加費だけになる。
スタッフとの契約によっては、賞金からスタッフへの支払いをする場合もあるので、
大坂の元にどれだけ残るか不明。
賞金とか言ってないで、個人の資産からサクッと1億円とか寄付すれば良いのに?

でも、敢えてこのような形を取ったのには別の意味があって、
こうして表明する事で、ハイチの災害に注目を集めて、支援を募る事に繋がる。

ただし、それだけではない。

記者会見拒否と大会棄権、Twitterでのメディアとの応酬、等々の騒動で、
擁護者も得ながら、アンチも増やしてしまった。
そこに、今回のような慈善活動は、イメージ回復の手助けとなる。
会場の観客も大坂なおみ選手の味方になるだろう。いや、ならざるを得ない。
大坂とマネージメントは、こうしたイメージ戦略、マスコミ操作に長けている。

対戦相手の選手はやり難いだろうな。
もし勝ったら、ハイチへの寄付金の額が下がるんだから。
周囲にどう思われるだろう。

全米オープン直前の大会で調子を上げていく為に、
大坂サイドは絶妙なタイミングでのメンタルの駆け引きを仕掛けた。
アメリカ式の慈善活動や寄付は、善意だけからではない。
注目を集め、それを力にし、人気にする。
メディアに対する、大坂のメンタルの強さ。


元のネットニュースと共に、
上記の文章(ブログ掲載に際して、少々補正)をFacebookで投稿したら、
「いいね!」が付けられていたけど、
実のところ、文章の真意はどちらかと言えば、
大坂に対して批判的な意味合いで結着するので、
「いいね!」を付けてくれた友達は、文章を最後までは読んでいないのだろう。