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マンガ家Mの日常
ケイト・ブランシェット主演の音楽ドラマ映画。


女性としてベルリン・フィルハーモニー管弦楽団初の主席指揮者の座に就いた
リディア・ターは、師であるバーンスタインに並ぶべく、
指揮者、作曲家として歴史に名を残す業績を上げていた。
私生活では女性のパートナーと養女とともに暮らしている。

従来の男性的な支配者傾向を持つターは、
ジュリアード音楽院で教鞭をとる際、反論する学生を徹底的に打ちのめしたり、
楽団では年配の副指揮者をあっさり切り捨てたりと、何かと手厳しい。
一方で、お気に入りの若い女性チェリストを急に贔屓して、
団員達から白い目で見られる事も。
パートナーや秘書フランチェスカもターに愛想を尽かしつつあった。

以前、ターのセクハラに悩まされたクリスタが自殺したと伝えられた。
フランチェスカはターが彼女を副指揮者に押さなかった事をきっかけに、
ターがクリスタに対して就職の妨害等、酷いセクハラ行為を行っていた
証拠となるメールを公開した。
それによって、ターは楽団の指揮者の地位を失う。
パートナーも養女を連れてターの元を去る。

悪評が知れ渡り、ターを雇う楽団は無くなった。
暫くの後、フィリピンで開催されるゲームコスプレイベントで
学生オーケストラ相手に指揮台に立つ。


ストーリーとしては、傲慢な指揮者が周囲から見放されたってだけなんだけど、
色々と奥が深い。闇が深いと言うべきか。

まず、当然ながら、主人公が女性である事、同性愛者で男役。
そのターが男性が主流だった指揮者という地位の最高峰についた、
複雑な権力構造。

ターは時折アナグラムを意識する。
自身の名前も、元は「リンダ」だったのを「リディア」に変えた。
「TAR/ター」というファーストネームも、果たして本名なのか?
本名でないとしたら、何故その名前を選んだのか?
「TAR」は「RAT(裏切り者)」にアナグラムされる。

研ぎ澄まされた音感を持つ故に、小さな音の響にも過敏になり、
強迫観念と共に「音」に精神的に侵食される。
そのシーンはホラー映画のようにさえ見える。

世界最高峰の芸術家の地位にいながら、人間関係の見極めが甘過ぎる。
露骨なセクハラ、パワハラを危険だと気づかない稚拙さ。


難解な作品。
ネットでネタバレ解釈等読んで、参考にして、
もう少し感想を続けます。
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