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マンガ家Mの日常
3本目にして、やっと少しは見所のある作品に行き着きました。


アスペルガー症候群の青年アダムは、幼い頃に母親を亡くし、
NYのアパートで父親と暮らししていたが、その父親も急逝。
孤独に沈みかける中、アパートの3階に引っ越して来たベスと親しくなる。

コミュニケーション不全のアダムは人付き合いが苦手で、
それまで勤めていたおもちゃ開発の仕事もクビになる。
ベスの助けを借りて就活。

アダムの純粋さに惹かれたベスは、両親に引き合わせる。
ベスの父親マーティは事業の不正で裁判を控えていた。
厳しい状況にあるマーティに対してストレートな言葉をぶつけるアダムに
ベスは憤りを感じる。
一方で、ベスが両親との出会いをアダムに黙って計画した事を知り、
アダムは嘘をつかれたと感じ、混乱し、傷つく。
裁判では、マーティが友人の娘と一時期不倫関係にあった事がバレて、
ベスと母親はショックを受ける。

様々な事が混沌とする中、アダムはLAの天文台の仕事が決まる。
ベスにLAについて来て欲しいと頼むが、愛情からよりも、
身の回りの手助けを求めるアダムの幼い利己心に失望したベスはLA行きを断る。

ベスとの生活の中で学んだコミュニケーションを糧に、
アダムは努力して自立していく。
1年経ったある日、ベスから、アダムをモデルにした自作の童話の本が届く。


アダム役はTV版「ハンニバル」のヒュー・ダンシー。
「ヒステリア」でも学者の役だったし、
この人はちょっと精神状態不安定な学者がハマり役なのかな。

アスペルガーの青年と、心優しい女性との心の触れ合いが美しい。
難解な宇宙の話はベスにとってもチンプンカンプンだけど、
冬のNYの空気感と共に、澄み切った心の広がりを感じさせる。

ちょっと気になるのは、
アスペルガーにも症状の程度が色々あるのだろうけど、
アダムは比較的大人しくて、ベスがメチャ困るという程の事態は無いし、
アダムが宇宙や工学系の専門知識に長けているという、
所謂サヴァン症候群的な長所を備えているというのも、
映画的な都合の良さに感じられる。
まぁ、映画として、救いがあるのは大事かな。

元彼や父親の嘘に傷ついたベスは、アダムの純粋さを愛するのだけど、
ベス自身、良かれと思って気楽についた嘘が、
アダムを酷く傷つけるとは思い至らなかった。
日常生活って、そういう嘘にも満ちているもんなんだよね。

アダムとベスがよりを戻すところまでは描かれていない。
でも、その前に、アダムの後見人のハーランが、アダムの助言に従って
大昔に別れた恋人と連絡を取って、会う事にしたと知らせるエピソードがあって、
それが、アダムとベスの再会を暗示している。
そういうとこ、すごく上手い。

全体的に、繊細な作りで、良い脚本。
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