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マンガ家Mの日常
(ネタバレ注意)

英国ミステリーのミニシリーズ第2弾。

英国のドラマは相変わらず美男美女が出演しない。
それだけに、リアルで良い面もあるかな。


郊外の街の小さな池の浚渫作業中に古びたスーツケースが拾い上げられた。
中には鹸化した死体が入っていた。
警部キャシーのチームが捜査に当たる。

腕時計の修理の際に刻印された日付と職人の名前から、
被害者の身元と殺害された時期を特定する。
更に、携帯していたポケベルのデータを復元し、
被害者と繋がりのある人物を割り出す。


派手なアクションや超人的な推理は無く、
細い糸を手繰るような地道な捜査で、一歩一歩核心に近づいていく様子がリアル。
ただ、所々では思い切った仮説で切り込む為、
よほどじっくり見直していけば、それなりにアラは出て来るかも?


結論から言うと、
3人の容疑者による交換殺人。

3人はそれぞれ子供の頃に性的虐待の被害を受けた経験があり、
成人してからも怒りの衝動等に苦しんで来た。
治療施設での出会いで互いの痛みを共有し、
加害者の交換殺人を計画、実行した。
2件は自殺、1件は失踪として、事件は忘れ去られていたが、
遺体が発見された事で、痛ましい過去が掘り起こされる事となった。

3人は弁護士、教師、看護師として、
弱い立場の人達に手を差し伸べる仕事に従事している。
しかし、虐待被害の精神的傷を隠し続ける苦悩から、
家族やパートナーとの間に亀裂が生じつつあった。
事件の捜査が進んだ事から、パートナーと共に過去に向き合い、
わだかまりは解消される。


未成年に対する性的虐待と言うのは今日的なテーマで、
つい最近も、ロックグループ、リンキンパークのヴォーカルのチェスターが、
被害の記憶に苛まれ続けた事から自殺するといった悲劇があった。

だから加害者を殺害して良いという事にはならないのだろうけど、
虐待は悲惨な人権侵害で、加害者が裁かれるケースが極端に少ないという
致命的な問題点がある。

キャシーは真実を突き止めるが、3人が受けた被害と、長年の苦しみを考慮して、
敢えて証拠不十分として不起訴のまま捜査を終わらせる決意をする。

ドラマとしての終わらせ方には少し微妙な感じがしなくもないかな。
とは言え、実際にこのような事例が起きたとしたら、
虐待の被害者はドラマの終了とともに癒されて終われる訳でもないし、
パートナーや家族の間にも何らかのしこりは残る。
ましてや、殺害にまで加担したとなったら?
とても家族として暮らしてはいけず、家庭生活は崩壊するしかない。

虐待をなくす事が一番大事だけど、
被害者やその家族への精神的ケアが充実される事が急務。






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