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マンガ家Mの日常
フランスのお料理映画。


19世紀末、郊外の邸宅で暮らす美食家ドダンは、自ら料理を手掛けつつ、
レシピの発想を的確の再現してくれる料理人ウージェニーと、
20年間にわたって、事実上の恋人関係で暮らしていた。
時折美食家仲間を招待して、午餐会を開催する。

ドダンはウージェニーに幾度もプロポーズするが、
「妻」としてではなく、「料理人」として認められたいウージェニーは
なかなか承諾しない。

住み込みの手伝いヴィオレットの姪で、近所の農家の少女ポーリーヌが、
天才的な味覚を持っており、ウージェニーの勧めに従って、
料理人見習いとなる事を希望する。

ドダンはウージェニーだけの為に晩餐を催し、再度プロポーズすると、
ウージェニーは喜んで承諾する。
しかし、ちょうどその頃、かねてより体調を崩していたウージェニーが急逝。
ドダンは悲嘆に暮れ、何も手につかず、飲酒して日々を過ごす。
観かねた友人達が新しく料理人を探す手伝いをするが、
ポーリーヌと共に面接して、料理を作らせると、次々と落第。
ある日、友人が料理が乗せられた皿を持って駆けつけ、
その料理人の腕前に感嘆したドダンは、直ぐに会いに向かう。


ルノワールの絵画のように美しい映像。
大きな展開のストーリーは無く、
淡々と19世紀末のフランスの料理の美しさが伝えられる作品。
ドダンとウージェニーの、的確で丁寧な手さばき。
きちんとした食事を作って食べる事の大切さが身に染みるが、
なかなかそこまで出来ないよねぇ。

邦題「ポトフ」は、フランス版の旧題でもあって、
ドダンがユーラシア皇太子に、敢えてフランスの田舎の家庭料理のポトフを
振る舞おうと計画するエピソードに由来する。
ドダン達を長時間の晩餐会に招待して、
重苦しい料理を並べた皇太子の料理人達への返答のようなものか。
シンプル・イズ・ベスト。
でも、そのポトフさえも、ウージェニーがいないと、思い通りに出来ない。

ドダンがウージェニーの為に作ったデザートの中の洋梨のコンポートの形が、
プロポーズを承諾した後、寝室で裸で待つウージェニーの肢体と
オーバーラップする。
エロチックな場面でもあるけど、
原作とフランス版タイトル「ドダン・ブーファンの情熱」が示す通り、
「食」は性愛を含めた人生を謳歌する喜びとリンクする。

ウージェニー役はジュリエット・ビノシュ。
ドダン役は一時期ビノシュの実生活のパートナーでもあったブノワ・マジメル。
でも、
「ピアニスト」で繊細な美青年を演じ、
フランスきっての美男俳優と称されていた姿は何処へやら。
随分太って、雰囲気が変わってしまった。
まぁね、人間50歳にもなれば相応の風貌になるものだけど、
やっぱりちょっと残念。
太ったせいなのか、映画の演出なのか、料理中も息がフウフウと聞こえて、
料理にかかっていそうなのがちょっと気になった。
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