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マンガ家Mの日常

ヒューマンドラマも良いけれど、やっぱり、事件を解決する類の映画が見たい。
ヒュー・ジャックマン、ジェイク・ギレンホールのサスペンス映画。

森に囲まれたペンシルベニアの田舎町。
ケラーとフランクリンは同じ世代の子供達がいる事もあって、
家族ぐるみで親しく付き合っていた。
フランクリン家でホームパーティを楽しんでいたところ、
両家の幼い娘達、アナとジョイが突然行方不明になった。
近くに駐車していたRV車が怪しい。

警察の調べでアレックスという青年が逮捕されるが、知的障害があり、
誘拐の疑いも見えず、すぐに釈放される。
しかしケラーはアレックスが娘といた事を示唆するような事を言ったのを聞いて
アレックスが誘拐犯だとして警察に激しく食い下がる。
優秀なロキ刑事が事件を担当するが、上司の反応はお役所的で融通が利かない。

数日経っても娘達の行方が分からず、業を煮やしたケラーは
独断でアレックスを監禁し、拷問して、娘達の居場所を吐かせようとする。

ロキ刑事は、近所の性犯罪者を尋問して捜査を続けている。
そんな中、フランクリン家に集まった人達の中に不審な男性を見かけ、追跡する。
その男ボブを逮捕するが、警察署内で拳銃自殺してしまう。
自宅を捜索すると、アナとジョイの衣服が見つかるが、依然居場所は掴めない。

しかしその時、フランクリンの娘ジョイが保護されたとの知らせが入る。
ジョイは犯人の隙を付いて逃げ出して来たのだった。
ケラーは意識朦朧とするジョイから話を僅かに聞き出し、
アナの居場所の見当をつけて向かう。

アレックスの叔母ホリーとその亡くなった夫は連続幼児誘拐殺人犯だった。
アレックスも実は甥では無く、誘拐した子供のひとりだった。
ケラーはホリーを追い詰めるが、アナの身柄を盾に逆に拘束されて、
地面に掘られた穴の中に閉じ込められてしまう。

やっと全体の状況を察知したロキ刑事がホリーの家に来て、アナを救い出す。
ケラーの行方が分からないままだったが、
ホリーの家の庭に埋められたと思われる遺体の掘り起こし作業の途中で
ロキ刑事はケラーが穴の中で吹いたホイッスルの音に気づく。
そのホイッスルはアナが大事にしていたおもちゃだった。


事件としては地味なんだけど、かなり見応えのある作品に仕上がっている。
観客に対して複数のミスディレクションが仕掛けられており、
犯人像が二転三転して、構成はやや難しい。
連続幼児誘拐犯だったホリーの夫は、なんと性犯罪歴のある神父によって
何年も前に殺されて家の床下に放置されていた。
班員だと思われたボブは実はかつての被害者少年で、
無事逃げたものの、トラウマから、誘拐の犯行を模倣するようになっていた。
迷路の謎についても、引っ掛け的で分かり難い。

とは言え、全体に緊張感があり、長尺を感じさせない優れたサスペンス。

「Prisoners」という原題を直訳すれば「囚人達、容疑者達」、
もしくは「捕虜達」となる。
「容疑者達」と当てはめるのが一番近いようではあるけど、
幼児誘拐殺人という異常事態に陥った人達の
それぞれの有り様を示しているのかもしれない。
強引で暴力も辞さないケラー、ただうろたえるフランクリン、
その間で決断するフランクリンの妻ナンシー、
そして、被害者のアレックスやボブの末路、
完全にサイコパスのホリーとその亡き夫。

ケラーが幼い娘を救う為に、犯人か、もしくは事件と関連があると思われる
アレックスを散々拷問する様子は、一応共感出来なくは無い。
ただ、ケラーのそうした性質は、数年前までアルコール依存症だった事や、
警察官だった父親の自殺と何か精神的に関連があるのかもしれない。
そのあたりは説明されていないので、観客が勝手に推し量るのみ。
サイコパスっぽいケラーが犯人ではと一瞬疑わせるような場面もあるけど、
娘達が姿を消した時のアリバイがはっきりしてるので、それはあり得ない。
諸々、ちょっと難しい。

自殺したボブを除けば、落ち着くところに収まって、めでたしめでたし。
警察があまりやる気が見えなくて無能っぽいのがちょっと気になるけど、
実際の事件の捜査はこういう地味な世界なのかもね。

山間の田舎町の冷えた風景に興趣をそそられる。
何も特別では無いごく普通の風景が、
雨や残り雪を伴って情緒豊かに映し出されている。
平凡で美しい人生が育まれ、人の体温が感じられる。


派手な展開やアクションでは無く、ごく普通の一家に突然襲う悲劇。
アメリカではこうした幼児誘拐が多いらしい。
その時自分はどうなるか、誰も考えたくはないだろう。

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