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マンガ家Mの日常
やや猟奇的なミステリー映画を見たかったのだけど、違った。
タイトルからして「ブラック・ダリア」みたいな傾向かと思ったのに。


1939年の英国はナチスドイツの攻勢に警戒を深めていた。
アンは赤ん坊の頃、由緒あるキース家に養女として迎え入れられ、
実子の弟妹と共に仲睦まじい家族の一員として暮らしていた。

ある日アンは倉庫でレコードを見つけ、音楽が流れると思いかけてみるが、
聞こえてきたのは、怪しげな政治の駆け引きの会議の録音だった。
その直後、キース家の友人で政府に反対する立場を唱えていた若手議員ヘクターが
不審な自殺を遂げる。
レコードとヘクターの死に関連を感じたアンは、
俳優仲間のギルバートに相談するが、彼もまた、直後に不審な自殺を遂げる。

アンがレコードを聞き直すと、キース家の弟ラルフの声が聞こえる。
ラルフが密約に加担している事に恐怖を感じたアンは
恋人のローレンスに相談するが、ローレンスは直後に殺害される。

ラルフのみならず、キース家全員が関係していた。
キース家の当主アレクサンダー卿こそが密約の首謀者だった。
ナチスを脅威に感じた英国は戦争を避けるべく、裏取引を講じていた。
アレクサンダー卿はアンにも理解を求めたが、受け入れられず、
やむなくアンは暫くの間薬漬けにされ、館に閉じ込められる。

アンに同情した母親がこっそりと逃がす。

戦時下にあって、恐怖に国全体が混乱していた時代だった。
養女という立場もあって、アンはキース家に脅威を感じたが、
家族の愛情は真実のものであったと思われる。

戦後70年を経た頃、
アンの孫の青年がキース家の末裔達の元を訪れ、当時の話を聞き、
彼らは生き延びたアンと再会する。


50年代のミステリー映画の雰囲気をところどころ漂わせつつも、
やや地味な映画に収まった。
たまたま前回見た映画「やさしい本泥棒」と今作とで第2次大戦下の話が続いた。
欧州はナチスを倒して勝利した構図があるから、
この時代を描くのが好きなのかな、と思える。

戦時中の特殊な状況下で、誰もが陰鬱になっている。
アンが家族に不信感を募らせたのも、そうした戦争の影が影響しているのだろうか。

食糧難で飼えなくなったペットが次々薬殺され、動物病院の倉庫に
ペットの死骸が大量に袋詰めにされて吊るされている光景がとてつもなく不気味。

大作とは言えないにも関わらず、有名俳優が多く名前を連ねている。
アレクサンダー卿役は、英国で製作される映画に全部出演しているかのような
ビル・ナイ。
ブレイク前のエディ・レッドメインや「ダウントンアビー」のヒュー・ボネヴィル、
大ベテランのクリストファー・リーに加え、
懐かしい名前のジェニー・アガター、ジュリー・クリスティ、等々、
こうして名前を並べると凄い。

アン達が遊び場にしていた、館か教会の廃墟が美しい。


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