GWのあれやこれやで、
気がつけば、記事が改元またぎ。
ベテランのマンガ家さんで、担当編集者と次回作の打ち合わせをする際、
僅か数行の短いプロットしか用意しない方がいる。
それは勿論、人気と実力に定評があって、
担当者との信頼関係あってこそなのだけど、
まぁ、まだ大雑把な設定までしか考えていない状況。
とは言え、展開はシンプルにして、エピソードの面白さで読ませる。
今作の場合も、プロットで書き表すならば、
若くて学歴の無い、モーテル暮らしのシングルマザーが職を失い、
生活苦で始めた売春がバレて、児童福祉局に子供を引き渡す事態になった。
と、2行で完了。
でも、心の小さな隙間をつくような、小さな傷に滲みるような、
珠玉のエピソードに満ちている。
主人公である幼いムーニーのキャラクターが何者にも代え難い。
ホテルの予約を間違えた新婚カップルが、モーテルのフロントで騒いでいる。
女性の様子を見たムーニーは大人びた目線で、
「大人の女性が泣き出すタイミングが分かる。」と言う。
母親や祖母の諍いを、嫌という程見て来たのだろう。
幼い子供が大人の諍いを部屋の隅からじっと見ている、
その様子が目に浮かぶ。
何が原因なのか、どうすれば収まるのか、何も分からず、何も出来ず、
ただじっと成り行きを見据えているしかない。
出るタイミグを見誤れば、とばっちりを食うかもしれない。
モーテルで知り合った子供達との友人関係にも惹きつけられる。
ややボスキャラのムーニー。
「タダでアイスクリームを食べられるところを知っている。」と言って、
親友2人をアイスクリームスタンドに連れて行き、
お金が足りないと言って、スタンドに来た見知らぬ大人にねだる。
1個のアイスクリームを3人で楽しそうに舐め回す。
1個だけならと、お金を出してくれる女性。
貧しい地域の人達の助け合い。
食糧支援のトラックから気楽にパンを受け取るムーニー。
アイスクリームの代金を無心するムーニー。
それは、母親が観光客に偽ブランドの香水を売りつけようとして、
断られると、小銭を無心する姿と呼応する。
観光客の女性もまた、何もうるさく言わずに小額紙幣を渡す。
生きる知恵でもあるけれど、
いつかは、それはあまり良く無い事なのだとムーニーも気づく時が来る。
その時ムーニーはどう思うのだろうか。
少し恥ずかしさを覚えながらも、生活の厳しさと、
何をしてでも子供と一緒に生きていこうとする母親の愛情と逞しさ、
そして、母親の弱さと愚かさも知るだろうか。
これらのエピソードは、その場面だけでなく、
母娘の人生の流れをも感じさせる。
貧しい生活で身についた垢と、内側のイノセンスが錯綜して見える。
そうして観客を物語の奥へ奥へと引き入れる。
僅か2行でまとめられるストーリー設定で、
オーロラのように様々な色合いを見せる。
優れた脚本。
大ヒットには至らなかった今作が、
いずれ再び大きく脚光を浴びる時が来ると信じたい。
(このテーマ、完了。)
気がつけば、記事が改元またぎ。
ベテランのマンガ家さんで、担当編集者と次回作の打ち合わせをする際、
僅か数行の短いプロットしか用意しない方がいる。
それは勿論、人気と実力に定評があって、
担当者との信頼関係あってこそなのだけど、
まぁ、まだ大雑把な設定までしか考えていない状況。
とは言え、展開はシンプルにして、エピソードの面白さで読ませる。
今作の場合も、プロットで書き表すならば、
若くて学歴の無い、モーテル暮らしのシングルマザーが職を失い、
生活苦で始めた売春がバレて、児童福祉局に子供を引き渡す事態になった。
と、2行で完了。
でも、心の小さな隙間をつくような、小さな傷に滲みるような、
珠玉のエピソードに満ちている。
主人公である幼いムーニーのキャラクターが何者にも代え難い。
ホテルの予約を間違えた新婚カップルが、モーテルのフロントで騒いでいる。
女性の様子を見たムーニーは大人びた目線で、
「大人の女性が泣き出すタイミングが分かる。」と言う。
母親や祖母の諍いを、嫌という程見て来たのだろう。
幼い子供が大人の諍いを部屋の隅からじっと見ている、
その様子が目に浮かぶ。
何が原因なのか、どうすれば収まるのか、何も分からず、何も出来ず、
ただじっと成り行きを見据えているしかない。
出るタイミグを見誤れば、とばっちりを食うかもしれない。
モーテルで知り合った子供達との友人関係にも惹きつけられる。
ややボスキャラのムーニー。
「タダでアイスクリームを食べられるところを知っている。」と言って、
親友2人をアイスクリームスタンドに連れて行き、
お金が足りないと言って、スタンドに来た見知らぬ大人にねだる。
1個のアイスクリームを3人で楽しそうに舐め回す。
1個だけならと、お金を出してくれる女性。
貧しい地域の人達の助け合い。
食糧支援のトラックから気楽にパンを受け取るムーニー。
アイスクリームの代金を無心するムーニー。
それは、母親が観光客に偽ブランドの香水を売りつけようとして、
断られると、小銭を無心する姿と呼応する。
観光客の女性もまた、何もうるさく言わずに小額紙幣を渡す。
生きる知恵でもあるけれど、
いつかは、それはあまり良く無い事なのだとムーニーも気づく時が来る。
その時ムーニーはどう思うのだろうか。
少し恥ずかしさを覚えながらも、生活の厳しさと、
何をしてでも子供と一緒に生きていこうとする母親の愛情と逞しさ、
そして、母親の弱さと愚かさも知るだろうか。
これらのエピソードは、その場面だけでなく、
母娘の人生の流れをも感じさせる。
貧しい生活で身についた垢と、内側のイノセンスが錯綜して見える。
そうして観客を物語の奥へ奥へと引き入れる。
僅か2行でまとめられるストーリー設定で、
オーロラのように様々な色合いを見せる。
優れた脚本。
大ヒットには至らなかった今作が、
いずれ再び大きく脚光を浴びる時が来ると信じたい。
(このテーマ、完了。)
PR
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック