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マンガ家Mの日常
フランスの人気俳優ロマン・デュリス主演の社会派ヒューマンドラマ映画。


オリヴィエはネットショップの配送センターでグループリーダーとして働き、
組合活動にも力を入れている。
妻のローラはブティックの店員として働いているが、
2人の幼い子供がいて、生活は楽では無い。

配送センターに学校から、ローラが子供の迎えに来ていないと連絡があり、
オリヴィエは取り残されていた子供達を迎えに行く。
しかし、その後、ローラは姿を消す。
心当たりを探すが、一向に行方は分からず、理由も不明。
母親や妹の手を借りながら、仕事と育児をギリギリこなして行く。

ローラから子供達宛に絵葉書が届く。
消印を見ると、生まれ故郷の街にいるらしい。
子供達はローラを探そうと家出して、夜中に保護される。

労働組合の選任幹部の仕事を打診される。
報酬も悪く無いが、トウルーズに引っ越さなければならず、決めかねる。
配送センターでは監督係が解雇され、オリヴィエに昇格の話が来る。
給料もかなりアップするが、労働者に対する会社の扱いに不信感を拭いきれない。

オリヴィエは子供達を連れてトウルーズに引っ越す。
ローラが戻った時の為に、家の塀にペンキで大きく新居の住所を書き残す。


現代のベルギー、フランス版「クレイマー、クレイマー」なのか?
ローラの居場所や、失踪の理由は明らかにされないまま話が終わる。

生活の余裕が無く、夫は仕事と組合活動に時間を取られている、
それが不満といえばそうなんだろう。
絵葉書を送って寄越したのは、子供達を安心させたいのと同時に、
探しに来て欲しい気持ちもちょっとあったんだろうな。
手を尽くせば、探し出せない事も無いと思うんだけど。
その辺がちょっと気になる。
無理に連れ戻そうとするより、
本人の気持ちが変わるのを待ったほうが良いって事かな。

原題は「Nos batailles」で、直訳すると「私達の戦い」となる。
タイトルから見ると、家族の問題よりも、
劣悪な労働環境と生活苦に主眼があるように思える。
映画の中でも、突然解雇されて自殺する男性や、
クレジットカードが停止されて、買い物できない女性の姿が描かれる。
配送センターは暖房さえ効かない。
最終的にオリヴィエは、センターでの昇格ではなく、組合の仕事を選ぶ。

日本での宣伝の為に付けられた邦題が、
鑑賞者に間違った先入観を植え付けてしまった。
エミール・クストリッツァ監督作品の「パパは、出張中!」に
倣ったつもりだったのかな。

前半で、息子のエリオットが胸元の傷の治療をするシーンがある。
具体的にどういう病気なのか、説明がなかったけど、
ネットで他の方の記事を読むと、火傷だとあって、
後半のエピソードで予想がついたように思える。
ローラが失踪した後、エリオットは自分自身もまだ幼いながら、
妹の面倒を見たり、朝食の用意をしたりする。
失踪以前から、少しずつ母親の手伝いをしていたのだった。
その中で、料理中にコンロの火が服に燃え移ったとか、
そういう状況だったんではなかろうか。
幼い子供達も戦っている。


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