「ボルグ、マッケンロー」に続き、
60年代から80年代にかけて活躍したテニスの女王、
ビリー・ジーン・キングの映画。
グランドスラムを複数制覇した、キング夫人、コート夫人らレジェンドの活躍と、
新星クリス・エバートらの台頭で、女子テニスの人気が高まるが、
全米の大会での賞金額は、男子の8分の1に留められていた。
これに反発したキング夫人らは、女子テニス協会WTAを発足、
独自にツアーをスタートさせた。
ウーマンリブを快く思わない権力者が女子選手を揶揄。
男子シニアで活躍するボビー・リッグスは、
女子対男子というエキシビション・マッチ「性別間の戦い」を申し出て来た。
膝の故障や、自らの性的アイデンティティに悩むキング夫人は調子を落とし、
その間に1位になったコート夫人がリッグスと対戦するが、
0−2のストレートで敗戦してしまう。
奮起したキング夫人はリッグスとの対戦に応じて、
5セットマッチ、3ー0で完勝。
女子選手の待遇改善の道を拓く。
2時間2分は決して短い上映時間ではないけれど、
テーマを盛り込み過ぎて、全体をチープにしてしまっている。
「スポーツ・コメディドラマ映画」と紹介されてしまうのもその為か。
スポーツ映画として見た場合、やはり物足りない。
野球に比べて、テニスは演出での誤魔化しが利かず、
試合シーンを描くのが難しいのだろう。
それでも、もっと製作費と時間をかければ、俳優のトレーニングも出来て、
それらしいシーンが撮れたのじゃないかと思うのだが。
キング夫人の現役時代は流石に見ていなかったので、
70年代の雰囲気が興味深い。
今では考えられないような言動で性差別がまかり通っていた事に悲しくなる。
このような状況で女性は生きていかなければならなかった。
主演のエマ・ストーンは、29歳という設定にしては幼い雰囲気で、
テニス界のレジェンドのカリスマ性が感じられない。
当時の実際のキング夫人を知らないので、何とも言えないけれど。
キング夫人は男性と結婚していたが、後に同性愛をカミングアウト。
LGBTの権利獲得の為の貢献も大きい。
映画でその点に触れない訳にはいかないとしても、
男女間での差別と、同性愛と、テーマが分散して、焦点が定まっていない。
特に、前半の恋愛模様の描き方に関しては、テンポが良くないし、
観客へのあざといサービスのように感じられる。
結婚していたキング夫人が、20代終盤になって、何故
いきなり自らの同性愛を認識したのか。
夫のラリーが、ホテルの部屋で、妻のものではないらしいブラジャーを見つけて、
すぐに浮気と判断してしまうので、
以前から同性愛傾向は見え隠れしていたのだろうか。
後年、女子テニスのトップで、同性愛をカミングアウトした選手も何人かいる。
逆に、同性愛に関して不適切な発言をしてバッシングされた選手もいる。
今作を見ると、WTAのツアー開始直後は、まだ参加選手も少なく、
同じ顔ぶれでツアーを回っていたから、
女子選手同士が親密になる機会も特に多かったのだろう。
リッグスは、性差別主義者というよりは、
ギャンブル好きで、金儲けの為に派手なエキシビションを行っていたらしい。
しかし、今作においては、もう少しサラッと描くだけで良かったように思う。
コート夫人との試合の後、注目度が上がり、リッチになり、生活が荒れた。
その様子を様々に描いてある為、キング夫人がリッグスに勝利したのが、
キング夫人の実力というより、リッグスの不調のせいのように見えてしまう。
監督が、観客にそう見せたかったのだとしたら、残念。
WTAの衣装担当ティンリング役のアラン・カミングの存在感も微妙で、
ラストでキング夫人とハグするシーンがあるのだけど、
一気に印象が同性愛問題に移ってしまうので、
最後の最後で映画のテーマがチグハグになってしまう。
キング夫人の半生、
性差別、
同性愛、
どこかに焦点を絞らないと、感動のツボが無い。
今作を、テニスファン以外の人が見たら、どう感じただろう。
やはり、コメディドラマとして見てしまうのだろうか。
60年代から80年代にかけて活躍したテニスの女王、
ビリー・ジーン・キングの映画。
グランドスラムを複数制覇した、キング夫人、コート夫人らレジェンドの活躍と、
新星クリス・エバートらの台頭で、女子テニスの人気が高まるが、
全米の大会での賞金額は、男子の8分の1に留められていた。
これに反発したキング夫人らは、女子テニス協会WTAを発足、
独自にツアーをスタートさせた。
ウーマンリブを快く思わない権力者が女子選手を揶揄。
男子シニアで活躍するボビー・リッグスは、
女子対男子というエキシビション・マッチ「性別間の戦い」を申し出て来た。
膝の故障や、自らの性的アイデンティティに悩むキング夫人は調子を落とし、
その間に1位になったコート夫人がリッグスと対戦するが、
0−2のストレートで敗戦してしまう。
奮起したキング夫人はリッグスとの対戦に応じて、
5セットマッチ、3ー0で完勝。
女子選手の待遇改善の道を拓く。
2時間2分は決して短い上映時間ではないけれど、
テーマを盛り込み過ぎて、全体をチープにしてしまっている。
「スポーツ・コメディドラマ映画」と紹介されてしまうのもその為か。
スポーツ映画として見た場合、やはり物足りない。
野球に比べて、テニスは演出での誤魔化しが利かず、
試合シーンを描くのが難しいのだろう。
それでも、もっと製作費と時間をかければ、俳優のトレーニングも出来て、
それらしいシーンが撮れたのじゃないかと思うのだが。
キング夫人の現役時代は流石に見ていなかったので、
70年代の雰囲気が興味深い。
今では考えられないような言動で性差別がまかり通っていた事に悲しくなる。
このような状況で女性は生きていかなければならなかった。
主演のエマ・ストーンは、29歳という設定にしては幼い雰囲気で、
テニス界のレジェンドのカリスマ性が感じられない。
当時の実際のキング夫人を知らないので、何とも言えないけれど。
キング夫人は男性と結婚していたが、後に同性愛をカミングアウト。
LGBTの権利獲得の為の貢献も大きい。
映画でその点に触れない訳にはいかないとしても、
男女間での差別と、同性愛と、テーマが分散して、焦点が定まっていない。
特に、前半の恋愛模様の描き方に関しては、テンポが良くないし、
観客へのあざといサービスのように感じられる。
結婚していたキング夫人が、20代終盤になって、何故
いきなり自らの同性愛を認識したのか。
夫のラリーが、ホテルの部屋で、妻のものではないらしいブラジャーを見つけて、
すぐに浮気と判断してしまうので、
以前から同性愛傾向は見え隠れしていたのだろうか。
後年、女子テニスのトップで、同性愛をカミングアウトした選手も何人かいる。
逆に、同性愛に関して不適切な発言をしてバッシングされた選手もいる。
今作を見ると、WTAのツアー開始直後は、まだ参加選手も少なく、
同じ顔ぶれでツアーを回っていたから、
女子選手同士が親密になる機会も特に多かったのだろう。
リッグスは、性差別主義者というよりは、
ギャンブル好きで、金儲けの為に派手なエキシビションを行っていたらしい。
しかし、今作においては、もう少しサラッと描くだけで良かったように思う。
コート夫人との試合の後、注目度が上がり、リッチになり、生活が荒れた。
その様子を様々に描いてある為、キング夫人がリッグスに勝利したのが、
キング夫人の実力というより、リッグスの不調のせいのように見えてしまう。
監督が、観客にそう見せたかったのだとしたら、残念。
WTAの衣装担当ティンリング役のアラン・カミングの存在感も微妙で、
ラストでキング夫人とハグするシーンがあるのだけど、
一気に印象が同性愛問題に移ってしまうので、
最後の最後で映画のテーマがチグハグになってしまう。
キング夫人の半生、
性差別、
同性愛、
どこかに焦点を絞らないと、感動のツボが無い。
今作を、テニスファン以外の人が見たら、どう感じただろう。
やはり、コメディドラマとして見てしまうのだろうか。
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