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マンガ家Mの日常
CBSの報道番組「60ミニッツ」の現場を描いた社会派ドラマ映画。
主演はアカデミー賞常連となったケイト・ブランシェット。


「60ミニッツ」のチームはアブグレイブ刑務所での実態を暴き、
成果に高揚し、波に乗っていた。
プロデューサーのメアリーが次に注目したのは、
2期目の大統領選を戦っているブッシュ(息子)大統領のスキャンダル。
空軍時代の実績が誤魔化されていたと証明する文書が存在するという話だった。
これが放送されたら、大統領選の行方を大きく左右する可能性もある。

メアリーとチームは入念に調査を進め、
看板アンカーのダン・ラザーが番組進行を務めた。

ところが直後に、情報源の人達が発言を撤回し始め、
文書の信憑性が疑われ、メアリーとチームは窮地に追いやられる。
メアリーは情報が確かなものであると信じていたが、
100%の実証は困難になった。

審問委員会が設けられ、糾弾される。
メアリーは弁護士の助言を受けて、真摯な対応を続けたが、
委員会はメアリーの政治的傾向を問題視して、解雇した。
ダン・ラザーは退職し、チームのメンバーは辞職させられた。
ブッシュは2期目の当選を果たす。


映画として普通に見る分にはやや地味な作りで、
テーマがテーマだけに、所々話が難しい。
まだ遠く無い時期に起こった実話を元にした作品なので、
極力慎重に描かれたのだろう。

真実は闇の中。
大統領選や放映時期の事もあって、メアリーは若干急がされてしまったところに
落とし穴があったと言うべきか。
日本でも、少し前に民主党が偽の文書に翻弄された事件があった。

ただし、この映画の本質的なテーマはそこではなく、
審問会の終了間際にメアリーが立ち向かった問題が本題だと言える。

報道はブッシュ大統領と共和党に不利に働くものだった為、
委員会はメアリーの政治的傾向を問題視した。
委員会が開かれる以前に結論は出されていたのだった。
しかし、メアリーは個人の政治的傾向ではなく、
あくまでも公正中立な報道者の立場で仕事をしたときっぱり言い切る。
そうした主張が委員会の反感を買って自分をマズイ立場に追いやると承知の上で。
この構成は「ニュールンベルグ裁判」を想起させられる。

メアリーは結果見事に解雇され、TVでの報道の現場に戻る事は無かったが、
報道者としての信念を貫いた。
毅然とした鋭い目つきと、家庭で涙を見せる脆さとの対比に、
信念の確かさを感じさせられる。

ダン・ラザー役は名優ロバート・レッドフォード。
高齢でほぼ引退を口にしていただけに、この作品への出演を承諾したのは、
思うところが強くあったのだろう。
ダン・ラザー、ロバート・レッドフォード、
並んだふたりの名前が映画の価値を実証していると言っても過言では無い。

テーマとは関係無いけれど、
ケイト・ブランシェットはさりげない身のこなしも綺麗。

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