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マンガ家Mの日常
風刺漫画家ジョン・キャラハンの自伝映画。


幼い頃養子に出されたジョンは、母親の名前も顔も知らされず、
母親から捨てられたトラウマによって、13歳から酒浸りの人生を歩んでいた。
青年になって、友人のデクスターとパーティーをハシゴして、
泥酔したデクスターの車に同乗し、
居眠り運転による事故で脊髄損傷の重傷を負い、四肢麻痺となる。
リハビリを経て胸から上と両腕を少し動かせるようになるが、
不自由な生活は一生続く。
電動車椅子と介護士が頼り。

精神的落ち込みから抜け出すべく、断酒会に通い始める。
主催者のドニーは両親から受け継いだ遺産で裕福な暮らしをしているが、
AIDSで少しずつ弱っていっている。
ジョンは自分の不幸を嘆いているが、
参加者の中には心臓に癌を抱えた女性もおり、
交流を経る中で、ジョンは考え直すきっかけを掴んでいく。

絵を描く事が得意だったジョンは、不自由さが残る手でペンを持ち、
風刺漫画を描き始める。
毒のある作風は時に反発も招くが、次第に有名雑誌等にも掲載されるようになる。


ガス・ヴァン・サント監督、脚本、ホアキン・フェニックス主演、
ダニー・エルフマン音楽。
前半は、ジョンのウダウダぶりが鬱陶しく感じられるが、
全体的に穏やかな空気に包まれた作品。
トラウマを抱えて荒んだ人生を送りつつあった青年が、
事故で四肢麻痺になった事で、逆に人生を取り戻していく展開だけど、
御涙頂戴に沈まない演出で素直に受け止められる。
雨の中ずぶ濡れになりながら、壊れた電動車椅子の修理を求めるジョンを、
障害者支援センターの職員は「2ヶ月で3度目!」と冷たく突き放す。
一見残酷な仕打ち、支援の不備に見えるけど、
障害者を過度に甘えさせず、責任感や自立を促す為でもあるのだろうな。
ジョンやドニーの心情を掘り下げるシーンでは、思いっきり顔のアップになる。
緻密な演技力が発揮される。

ジョン・キャラハンのWikiのページが無くて、詳細は分からないのだけど、
1951年の誕生だから、映画で描かれた時代は1970〜80年代頃なのかな。
当時のヒッピー文化的な要素や反戦的な雰囲気もごく微かだけど感じられる。
故ロビン・ウィリアムズが映画化を切望していたそうで、
映画に加えて、そうしたバックグラウンドを知ると、もっと沁みてくるかも。

断酒会主催者のドニーは、何と、減量に成功したジョナ・ヒル。
すっかりイケメンに変貌している。
特定のキャラクターに固定される状態から脱却するべく、減量したんだって。
一方、デクスター役のジャック・ブラックは愛嬌のある太っちょをキープ。
他、ヴァン・サントならではの人脈で、
何人かのミュージシャンが俳優として出演している。
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