忍者ブログ
マンガ家Mの日常
アカデミー賞授賞式に合わせて、
昨年のアカデミー賞作品がWOWOWで放送されている。


実話を基にした社会派作品。
アカデミー賞作品賞と脚本賞を受賞。
ボストン・グローブ紙の「スポットライト」担当班が丹念に長期間の取材を続けて
カソリック教会司祭による幼児への性的虐待の全容を暴いた。


日本でもお寺で何らかの虐待事件があったりするのだろうけど、
おそらくここまで数が多くないのかな、滅多に報道されない。
なので、神父や司祭による信者の子供達への性的虐待についての問題について
深い実感が持てない。
このところ海外ドラマでもエピソードとして多く扱われるようになっているから、
カソリック圏では深刻な問題で、現在対応が求められているところなのだろう。

日本人の立場から感情移入しきれないのは否めないとしても、
アカデミー賞作品賞を受賞する程かとなると、ちょっと疑問符が付くかな。
かなり地味な作品。
映画だから時間の制約があるのは仕方ないけれど、
描き切れていない問題が裏に山積しているのではなかろうか。
その辺はどう考えるべきなのかな。

敢えて感情的な面を描かずに、事実を追う形でストーリーを進行させていった。
観客が自主的に考える事を求めて、登場人物に感情移入させるのを避けたのかな。
グズグズしていたらヘラルド紙にスクープを横取りされてしまうと焦る記者、
教会全体の問題に迫るまで待つよう指示する局長、
正義漢のつもりでいたら、実は数年前の赴任直後に弁護士から届けられていた告発を
おざなりな記事にしてしまっていた事に気付いた部長、
そうした事柄についても、大袈裟なドラマに仕立てず、比較的あっさりと運ぶ。

マーク・ラファロは助演男優としてノミネートされているけれど、
では、マイケル・キートンが主人公かと言うと、そうでもないような。
主人公的な存在も敢えて指定していない。
仕事にのめり込むあまり家庭を疎かにして離婚の危機を迎える記者もいながら、
記者達のプライベートにはあまり深入りしない。
ありがちな恋愛ドラマも無い。

近年乗りに乗ってるマーク・ラファロは、役作りが充実していた。
レイチェル・マクアダムスは美人過ぎるかな。

TVドラマを見過ぎなこっちも良くないんだろうけど、
ジョン・スラッテリーは「MADMEN」の印象が強過ぎて、つい重ねてしまう。

更に困ったのは、リーブ・シュライバー。
リーブ・シュライバー演じるバロン局長が赴任して来て、
スポットライト班に虐待事件の再調査を求めた事から話が始まる。
リーブ・シュライバーは代表作にもなるであろうドラマ「レイ・ドノバン」で、
少年時代に神父に性的虐待を受けた過去がある主人公を演じている。
その役柄が強烈過ぎて、今作を見ていても、
再調査を求めた事に何か裏の意図があるように、つい勘ぐって見てしまう。
そう言えば、映画の中でも、バロン局長が何故今虐待事件の再調査を求めたのか、
はっきりと描かれていなかったような。

日本人の視点からすると、映画自体はやや物足りない印象ではあるんだけど、
カソリック圏の人達からすると、とてつもない問題なんだろうな。

PR

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:
   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック