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マンガ家Mの日常
少し前に録画したままになっているものは、
パンフレットで紹介されていた内容ももう忘れていて、
ある意味新鮮な感覚で迎えられるのは良いんだけど、
見たいと思っていたタイプの映画と違ったりするのがややこしい。

サスペンスだと思って手を付けたら、もっとシリアスな作品だった。
もうちょっとエンターテインメント的に作ってくれても良さそうな気もするけど、
政治的なテーマだけに、そうも行かなかったか。

1970年代、北アイルランドのベルファストは
IRAと英国軍の抗争が最も激しい地域。
少女コレットは、父親に頼まれたお遣いに行くのが面倒で、弟に押し付ける。
弟はすぐ近所で起こった撃ち合いの流れ弾に当たって命を落とす。
コレットの胸の奥には、弟の死の責任がわだかまっていた。

1993年、英国側の警察はIRAのテロの取り締まりに力を傾けていた。
コレットの兄弟は筋金入りのIRA闘士になっていた。
コレットも活動の手伝いをやらされるが、人殺しを極力避けようとする。
そうしたところMI5に目を付けられて、一家の密告屋にさせられてしまう。

IRAとMI5の板挟みで、コレットも命の危険に晒される。
捜査官マックはコレットを守ろうとするうち、次第にコレットに惹かれてゆく。

マックはMI5内部で隠された情報がある事を不審に思い、調べると、
実は「シャドー・ダンサー」と呼ばれる密告屋が既にいて、
IRAが密告屋の存在に気付いて、探し出して消そうとしていた。
コレットはその注意をそらすおとりとして雇われた捨てゴマだった。

マックが「シャドー・ダンサー」の正体を突き止めると、
何とコレットの母親だった。
80年代に、やはりコレットと同じようにMI5に脅されて、
家族の命を守る為に、密告屋を引き受けさせられていた。

マックはコレットを守りたい気持ちが勝って、匿名で母親に電話し、
母親が自ら正体をばらす事でコレットの身を守るよう、言外に促す。
電話の意味を悟った母親は、IRAの幹部に会いに行き射殺される。

状況を理解したコレットは、IRA闘士である弟に話し、マックを爆死させる。
コレットも心の中ではマックに惹かれる部分があったかもしれないが、
自分ばかりでなく母親まで犠牲にしたやり方が許せなかった。
裏切りは愛情より重い。

マックは、コレットの母親が密告屋になった当時の事には責任は無いし、
愛情からコレットを守りたい一心だった。
正直、コレットがマックを弟に殺させたラストは衝撃だった。
でもコレットからしてみれば、
母親の死を招いたマックの「密告」は許されないもので、死に値する。
IRA側はカトリックだから、母親に対する想いが深いという側面もあるかと思う。

その国の背景をいくらかでも理解していなければ、
映画の内容を読み取りきれなかったりする。
逆に、そこから調べたりして、知識を深めて行ければ良いのかな。
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