忍者ブログ
マンガ家Mの日常
ドイツのコメディ映画。

2時間42分という長尺ながら、大きな筋立ては無く、
じんわりと話が進んでいく。
ドイツの観客って、長尺に慣れてるのかな。
この規模のコメディだったら、
1時間40分で締めなきゃ、映画館の収益が上がらない。


ユーモアの好きな音楽教師ヴィンフリートは、それなりにいい歳になっても
バレバレのしょーもないメイクで悪ふざけを仕掛けたりしている。
一人暮らしで、高齢の飼い犬の介護をする日々。
優秀なキャリアウーマンの娘イネスは母親と暮らしている。

イネスは進行中のプロジェクトの為、ルーマニアの首都ブカレストに転居。
仕事に没頭するイネスを心配して、ヴィンフリートは
連絡なしにブカレストのイネスの会社を訪れる。
イネスはヴィンフリートが疎ましい。
一旦帰国したかと思ったら、ヴィンフリートはカツラと入れ歯で扮装して、
トニ・エルドマンと名乗って再登場。
行く先々に突然現れ、イネスはペースを乱される。

しかし、どんなに邪険にしようとも、娘を気遣ってくれる父親の心情に
イネスは心を動かされる。


最初、ロバート・デ・ニーロの「マイ・インターン」をイメージした。
若いバリキャリの女性を、ロートル男性が救う、みたいな。
でも、今作ではそんな美しい展開は一切無く、
真面目なキャリアウーマンのイネスからすれば、
このアホ親父、勘弁してくれっていう状況がひたすら続く。

それが父親の愛情表現なんかね。

イネスが職場の同僚を招いてホームパーティを主催する中で、
ドレスのファスナーが上手く上がり下がりしないエピソードが可愛かった。
これは男性には分からないよね。
後ろ手にフォークで持ち手部分を引っ掛けてファスナーを上げたり、
別のドレスに着替えようとしたら、
今度はファスナーが引っ掛かって脱ぐに脱げず、腹巻き状態。
パニクった挙句に、ドレスを脱ぎ捨てて、
信頼関係を築く為に裸でパーティをする、とか言い出す。
女友達は怒って帰り、BFは自分だけが騙されるのではと疑って帰る。
イネスに尽くすアシスタントの若い女性は、躊躇いながらも裸で入室。
上司はお酒を一杯引っ掛けて再訪。
それぞれのパターンも興味深い。

町山智浩さんの解説を読むと、
背景に、欧州の格差社会があるんだって。
日本人からすれば縁遠い国で、ルーマニアの事って殆ど知らないけど、
欧州の大国が石油資源を搾取しているらしい。
金儲けに集中するあまり、非人道的になっているビジネスマンに警鐘を鳴らす。

テンポは良くて、長尺も苦痛では無かったけど、
やっぱり2時間以内に収めてくれるとありがたいかな。
PR

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:
   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック