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マンガ家Mの日常
先週まで仕事で昼夜逆転になっていて、朝型に戻そうとしてもなかなか戻らず。
原稿に集中するには夜の作業の方が良いんだけどね。
終了して、人並みの生活の為の様々な事をしようとなると、
朝型が必須なんだけど、時差ぼけはすぐには治らない。

眠れないまま、明け方近くに映画を見る。

何だかね、邦題がお仕着せがましくてよろしくない。
いかにも、ヒューマンタッチな家族ものです、って感じがウザい。
原題は「As Cool as I Am」で、これを直訳すると「私のように冷静に」とか?
それもまた映画の内容が分かりにくいけど。

映画の出だしがちょっとトロトロしていて、
あまり興味を惹かれる感じでは無かったんだけど、
見終わった後の感触はすっきりしていてとても良かった。お勧め。
主人公の女の子が無名で地味な風貌なんで、日本では売り出し難かったんだろう。
(WOWOWの解説を見ると、「ワンス・アポン・ア・タイム」に出てるって。)


アメリカの地方都市の郊外のど田舎の町。
16歳の女子高生ルーシーは料理番組を見ながら実際に料理するのが日課で、
将来シェフになるのが夢。
幼馴染のケニーと仲よくて、恋人関係に発展する。

父親のチャックは材木伐採業で、2、3ヶ月家を開けることはザラ。
孤児院育ちで宗教を刷り込まれていて、何かに付け聖人のエピソードを持ち出す。
母親のレイニーはチャックが留守の間は仕事に出たり、浮気したり。
二人は17歳の時にできちゃった結婚して、仲良かった筈だったけど、
子育てが一段落したからか、レイニーは女子高生に戻ったかのように
女性としての華やかな人生を取り戻したがっている。

ルーシーは高校ではやや浮いた存在。
時には男の子に絡まれたり、誘われたりと、面倒にも巻き込まれる。
ケニーとはやがてセックスする仲になったが、
ケニーの母親は、チャックとレイニーのように10代でできちゃった結婚して
将来を捨てて小さな田舎町で生活に追われて生きるような人生を
我が子には送らせたくなくて、ケニーをルーシーと引き離し、
離婚して遠方に住んでいる父親の元に預ける。
遠距離恋愛が続くが、ルーシーには他にも親しい男の子が出来て、自然消滅。

チャックとレイニーはルーシーの育て方についての口論から大ゲンカに発展。
人生観の違いは埋めようがなくなっていた。
やがて離婚。
レイニーは高校時代の元彼から誘われた事がきっかけで、
その元彼とメキシコに行くと言い出す。
ルーシーは自分の将来を見据えて、地元に残り、一人暮らしを決意する。
料理が心の支えで、やがて立派なシェフになる。


16歳の女の子の成長物語なんだけど、
最近増えてきた、田舎町のプアホワイトの話とも取れる。
プアと言う程では無いけど。
地方の田舎町で生まれ育って、一生その町を出ずに暮らす人達も多い。
世界が狭いから関心事が他に無くて、10代のでき婚もあまりにもありがち。
二人目のBFは、ルーシーとのセックスがチャックにバレて、
「本気だ、ルーシーと結婚する!」と言い出すけど、
結局世間知らずで、将来の学業や仕事よりも結婚が手近な選択肢なんだよね。

その中で、ルーシーは時には挫折しながらも、
はっきりした将来へのヴィジョンを持って人生を選択していた。

母親のレイニー役はクレア・デーンズ。
エロさを撒き散らしてヒステリックな感じが上手い。
かつてのジュリエットも、母親役になっちゃったか。

父親のチャック役はジェームズ・マースデン。
今作では美しい顔を濃いヒゲで隠している。勿体無い。
他、レイニーの浮気相手で、ジェレミー・シストや
「クローサー」のジョン・テニーが出ていたりと、なかなか配役が渋い。
この二人、やや地味目のイケメンで、大人の包容力があって、
中年女性との浮気は説得力ある感じ。

ラストで不意にピーター・フォンダが登場。
この人もいつまでお姿を見られるのかな。


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