その日、食事も摂らずに 暫くゲストルームにこもっていた。
寝ていたかったのと、昨晩のフィリップの怒った様子が少し怖くて
顔を合わせづらかったから。
フィリップは家の中の事をしてから、リビングでTVを見ていたようだった。
午後の少し遅い時間に、フィリップがお茶を持って来てくれた。
私が出難かったところ、彼から歩み寄りの姿勢を示してくれたようで、
フィリップがドアを閉めた後、ひとりで気が緩んで少し泣けた。
TVの音声からしてテニスの録画を見ていたようだったので、
終わるのを待ってから 話をしに行こうとリビングに向かったけど、
タイミングが悪かったのか、フィリップは寝室に戻った後だった。
寝室の方へはなんとなく行きづらかった。
夕方になって、フィリップの方からまた来てくれた。
昨晩の子供じみた悪戯については すぐ謝ってくれた。
私としても昨晩は やや感情的になっていたから
疲れがずっと溜まっていた事を説明して、それで仲直りするつもりでいた。
...ところが、話は思ったのと違う展開になってしまった。
「脅された花嫁」の作画はこれまでの作品以上にキツくなってしまって、
ネームとカラーの間はまだしも、
原稿に取りかかってからは 休みも無く、日々睡眠時間を削って仕事していた。
原稿が上がってからも、殆ど休みが取れず、次回作の選定に追われた。
それで疲れが溜まって...と話したところ、
「キツイ思いをしているのは君だけじゃない。」と切り返された。
えっ?えっ?
いや、皆それぞれ大変なのはわかってるよ、
だけどもさ、ここでそういう返しはないんじゃない?
マンガの原稿を描くのには とにかく長い時間が必要だって事も
ちゃんと説明して、それは納得したみたいだったんだけども、
なんだかそれだけでは引き下がってくれなかった。
オーストラリアツアーの航空券の手配の遅れについては
私が行く気かあるのかどうかまで疑ってた。
こっちに来る前に手配しようとしていて、相談のメールも送ったけど
メールの遅配でフィリップからの返信がもらえず、手配途中になった事も
ちゃんと説明したんだけど、スッキリと受け入れてくれなかった。
仕事でアシスタントさんにバイト代払った後、
普段使ってる口座の残高が微妙だったもので、
出版社が原稿料を振り込んでくれたのを確認してから購入手続きをしたかった、
その事もちゃんと説明したんだけど...。
実際、HISで航空券を買うとしたら、申し込みの翌日には
代金を全額現金で支払わなきゃならない。
エクスペディアなら口座引き落としで、そっちも検討中だったんだけど。
直行便で少し安い航空券が JALから遅れて出たし。
とにかく、原稿を描いている間は手一杯で 他の事を考える余裕がないから、
原稿が上がってからちゃんとするつもりでいた。
そういう事を全部説明したら、
「お金の事について何故相談してくれなかったんだ、
君の分もこっちで手配する事も出来たのに。」と言われた。
...でも、だって、まだ付き合いが浅いから、航空券の代金なんて頼めないよ。
そういう事は上手く説明できなかった。
「君が独立心のある人だというのはわかるけど、
何故僕を信用してくれないんだ。」...って言われても...。
これって、お互い 和解の為の話し合いじゃなかったの?
フィリップの問い掛けに対して 私は私の事情をちゃんと説明してるんだから
それは受け入れてもらわないと。
でも、その後 何を「説明」しても、それは「言い訳」だと言われて、
話が進むにつれ 私は追いつめられていった。
(続く)
寝ていたかったのと、昨晩のフィリップの怒った様子が少し怖くて
顔を合わせづらかったから。
フィリップは家の中の事をしてから、リビングでTVを見ていたようだった。
午後の少し遅い時間に、フィリップがお茶を持って来てくれた。
私が出難かったところ、彼から歩み寄りの姿勢を示してくれたようで、
フィリップがドアを閉めた後、ひとりで気が緩んで少し泣けた。
TVの音声からしてテニスの録画を見ていたようだったので、
終わるのを待ってから 話をしに行こうとリビングに向かったけど、
タイミングが悪かったのか、フィリップは寝室に戻った後だった。
寝室の方へはなんとなく行きづらかった。
夕方になって、フィリップの方からまた来てくれた。
昨晩の子供じみた悪戯については すぐ謝ってくれた。
私としても昨晩は やや感情的になっていたから
疲れがずっと溜まっていた事を説明して、それで仲直りするつもりでいた。
...ところが、話は思ったのと違う展開になってしまった。
「脅された花嫁」の作画はこれまでの作品以上にキツくなってしまって、
ネームとカラーの間はまだしも、
原稿に取りかかってからは 休みも無く、日々睡眠時間を削って仕事していた。
原稿が上がってからも、殆ど休みが取れず、次回作の選定に追われた。
それで疲れが溜まって...と話したところ、
「キツイ思いをしているのは君だけじゃない。」と切り返された。
えっ?えっ?
いや、皆それぞれ大変なのはわかってるよ、
だけどもさ、ここでそういう返しはないんじゃない?
マンガの原稿を描くのには とにかく長い時間が必要だって事も
ちゃんと説明して、それは納得したみたいだったんだけども、
なんだかそれだけでは引き下がってくれなかった。
オーストラリアツアーの航空券の手配の遅れについては
私が行く気かあるのかどうかまで疑ってた。
こっちに来る前に手配しようとしていて、相談のメールも送ったけど
メールの遅配でフィリップからの返信がもらえず、手配途中になった事も
ちゃんと説明したんだけど、スッキリと受け入れてくれなかった。
仕事でアシスタントさんにバイト代払った後、
普段使ってる口座の残高が微妙だったもので、
出版社が原稿料を振り込んでくれたのを確認してから購入手続きをしたかった、
その事もちゃんと説明したんだけど...。
実際、HISで航空券を買うとしたら、申し込みの翌日には
代金を全額現金で支払わなきゃならない。
エクスペディアなら口座引き落としで、そっちも検討中だったんだけど。
直行便で少し安い航空券が JALから遅れて出たし。
とにかく、原稿を描いている間は手一杯で 他の事を考える余裕がないから、
原稿が上がってからちゃんとするつもりでいた。
そういう事を全部説明したら、
「お金の事について何故相談してくれなかったんだ、
君の分もこっちで手配する事も出来たのに。」と言われた。
...でも、だって、まだ付き合いが浅いから、航空券の代金なんて頼めないよ。
そういう事は上手く説明できなかった。
「君が独立心のある人だというのはわかるけど、
何故僕を信用してくれないんだ。」...って言われても...。
これって、お互い 和解の為の話し合いじゃなかったの?
フィリップの問い掛けに対して 私は私の事情をちゃんと説明してるんだから
それは受け入れてもらわないと。
でも、その後 何を「説明」しても、それは「言い訳」だと言われて、
話が進むにつれ 私は追いつめられていった。
(続く)
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